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ラパヌイ(別名はイースター島)のモアイは誰もが知っているだろう。一枚岩から作られたモアイは、人類工学の驚異であり、驚異的な芸術作品でもあるといえる。高さ2〜20メートルの900体のモアイが並ぶ様子は圧巻で、ユネスコの世界遺産に登録されているのも納得だ。
実はそのモアイの多くが、そう遠くない未来に脅威にさらされる可能性が出てきているという。その要因になっているのが、気候変動だ。
今、ラパヌイ周辺では海面が上昇。嵐や悪天候の際に洪水が発生する確率が高くなっている。洪水や海岸浸食は、台座の上のモアイをずらすことがある。つまりいずれはいくつか、もしくは全ての像が倒壊するかもしれないというのだ。
危機に直面しているのはモアイだけではない。ラパヌイの先住民の生活そのものも、地球温暖化によって脅かされている。ブルームバーグによると、この島では降水量が激減。1991年には1311ミリリットルだったのが、2020年にはわずか992ミリリットルしか降らないという。もしこれ以上降雨量が減少すれば、約8000人いる住民の生活は非常に困難になると見込まれている。
モアイを守り、ラパヌイの先住民を助けるためのいくつかの措置はすでにとられている。モアイのある場所の一つであるアフ・ルンガ・ヴァエでは、像を保護するための護岸工事が行われた。また、チリ政府は科学者と協力して、より広範な気候変動対策計画を策定している。
残りのモアイを守るため、さらに多くの防潮堤が必要なのはほぼ間違いない。しかしパンデミックにより、資金繰りが悪化。島の主な収入源である観光業の低迷も、状況を難しくしている。ラパヌイはチリの「特別地域」として統治されているが、それはおそらく助けにはならないだろう。
気候変動は、世界で最も貧しく弱い立場にある人々に最も大きな影響を与えると考えられている。ラパヌイはそれをさらに証明する存在だ。地球温暖化には基本的に何の影響も与えていないにもかかわらず、この島の人々は気候変動に苦しめられている。
手遅れになる前に、地球温暖化を食い止め、海面上昇を遅らせることができるのか。それは我々次第なのだ。
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