[title]
2022年4月29日(金・祝)、港区三田に温浴施設、パラダイス(PARADISE)がオープンする。90年続いた銭湯の万才湯が、サウナや『現代版銭湯壁画』を兼ね備えた新感覚の温浴施設として生まれ変わった。田町駅前と三田通りをつなぐ慶応仲通り商店街の居酒屋やラーメン店などが並ぶ細い路地に、突如として現れるのがパラダイスだ。
手がけるのは、港区を中心に飲食店やシェアハウスなどを展開する大関商品研究所。同社は万才湯をリノベーションし、銭湯の面影を残した飲食店の分福を2016年にオープン。しかし、コロナ禍の影響により閉店を余儀なくされた。
さまざまな構想を模索する中、たどり着いたのが銭湯の復活であった。近年のサウナブームに乗り、銭湯時代にはなかったサウナを設えるなど、多様なニーズに対応する温浴施設として復活する。
「失われた商店街の活気を取り戻すためにも、再び銭湯にすることが最善と考えました」と話すのは、運営責任者の大澤秀征。全国各地のサウナを巡り、さらには「軽トラサウナ」まで自作したという生粋の「サウナー」である。工学部で建築を専攻する21歳の学生(休学中)だ。
将来起業したいという夢を抱く中、縁あって同社代表の大関耕治と出会いプロジェクトに参画。経営を間近に学べるチャンスと捉え、迷うことなく休学を選んだという。
同店のコンセプトは「極楽浄土」。現世と極楽浄土のはざまをイメージしたという脱衣所には、浪曲が流れている。三味線を用いた独特の節と語りはまさに非日常だ。ロッカーには国産スギが活用されるなど、館内の内装のほとんどに木材が使われている。森林浴に来たかのような清々しい香りに癒やされるだろう。
脱衣所を抜けた先にあるのが、極楽浄土をイメージした浴室。銭湯時代の仕切り壁を撤去し、開放感を創出した。1階は共用サウナと浴槽、洗い場。浴槽は銭湯時代から形を変えず修復しており、水が美しく映えるように水色のタイルを採用した。水風呂は、冷たい水で刺激を楽しむ近年のサウナファンのニーズに応えるべく、16度と9度の2種類を備える。
国産ヒノキを使用した共用サウナは約20人が収容でき、サウナストーブを取り囲んだひな壇状の造りになっている。ほうじ茶をアロマ水として使用する『ほうじ茶ロウリュ』など、心地よい蒸気でリラックスできるのも魅力だ。
2階にはリラックススペースと5つの個室サウナを完備。『現代版銭湯壁画』と称された壁は、若手アーティストによる作品をプロジェクターで投影する。オープン時には現役大学生アーティスト、RYO OGATAのアニメーション映像を予定。マスコットキャラクター「サウにゃん」や動物たちが極楽浄土で湯浴みする姿などを映し出す。「銭湯の鏡広告をモチーフに、スポンサーとアーティストをマッチングさせる場としました。サウナや入浴でととのえば感覚も研ぎ澄まされ、より深くアートを観賞できるはず」(大澤)。
個室サウナは1人専用のプライベート仕様。好きなタイミングでロウリュを楽しんだり、好みの湿度に調節したりできる。温浴体験後は和洋が調和した休憩スペースでくつろぐことも。ドリンクは『角ハイボール』(600円)や『生ビール』(600円)といった定番も良いが、サウナ上がりに合うように試行錯誤を重ねたという『オリジナル 檸檬モヒート』(600円)をぜひ味わってほしい。レモンの酸味が際立った一杯は爽快感もひとしおだ。頼めば、ノンアルコールにも変更できる。
入館料は最初の30分が750円。以降10分ごとに250円課金される(個室サウナは別途追加料金)。フロントで受け取る鍵で時間管理を行い、ドリンクもオーダー時に鍵番号を伝えるという仕組みだ。通常は男性専用で、毎⽉0の付く⽇だけ「レディースデー」に変わる。
「ここに来たら誰もがサウナにハマってしまう施設にしたい」と大澤は意気込む。女性客が増えれば、ゆくゆくはレディースデーの増設も視野に入れているという。銭湯文化を継承しつつも、新しく生まれ変わった都会の「極楽浄土」で心と体をととのえてみては。
関連記事
『日本初「ドラゴンサウナ」を導入、関東最大級の温浴施設がオープン』
『恵比寿のひとりサウナプラス訪問記、完全個室でロウリュウを探究せよ』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら