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ロボットや遺伝子、宇宙など現在進行形の研究を紹介する展示をはじめ、2018年には音楽とデジタルアートの祭典『MUTEK』のメイン会場にもなった江東区青海の日本科学未来館。オリンピック・パラリンピック会場にもほど近いこの施設では、8月29日(日)までろう・難聴者に向けて、開発中のシステムを利用した展示ツアーが開催中だ。
話者の音声を拾うリアルタイム字幕
近年では聴覚に障害を持つ人に向けて、手話や筆談のほか音声から文字変換を行うスマートフォンのアプリなど、より身近で使いやすいシステムが開発されている。本ツアーでは、小型の透明パネルに音声字幕を表示する『See-Through Captions(シースルーキャプションズ)』を使用。手がけるのは、日本科学未来館の研究エリアにあるxDiversity(クロス・ダイバーシティ)の研究者たちだ。
なぜ透明パネル? 表情と言葉を同時に表示するシステム
xDiversityは、落合陽一を代表に研究者やデザイナーが集い、「多くの人に寄り添った問題解決の仕組み造り」を目指すプロジェクト。『See-Through Captions』は、解説を行う科学コミュニケーターの言葉をリアルタイムで字幕変換するだけでなく、透明パネルを透かして背景を見せるというもの。話者の唇の動きや表情と同時に、言語の文字起こしを表示できるのだ。
展示ツアーは事前予約制で40分間、終了後のアンケート記入時間を含めて約1時間を予定。「ロボットと人間の違い」などのテーマに沿って、『See-Through Captions』を手に持った科学コミュニケーターとともに展示を巡り、対話しながらテーマについて考えていく。文字とボディランゲージや展示を同時に観ることができ、聴者にとっても、まわりの音がうるさくて声が聞こえづらいときに、文字の情報があるとわかりやすい。
また、日本科学未来館では手動の車いすやベビーカーのほか、電動車いす『WHILL(ウィル)』の無料貸し出しも行っている。利用日の1週間から前日までに電話予約制で、予約がない場合は車いす利用者だけでなく、健常者の使用も可能だ。
そのほか、展示音声の情報補償として一部展示のシナリオ貸し出しや、車いす利用可能な広いスペースを保った多目的トイレ、男性も利用できる鍵付き授乳室の設置など、訪れる人々に幅広く対応した施設作りが成されている。
『ろう・難聴者向け展示ツアー』の実施期間は2021年8月5日から始まり、19日(木)、22日(日)、26日(木)、29日(日)の1日3回各1組まで参加費は無料。訪れたい日から3日前の17時までに、オンライン応募フォームにて申し込む。また別途、オンラインでの常設展チケット事前予約、購入が必要で、1階チケットブースまたは3階の総合案内受付で障害者手帳を提示すると本人と介助者1人は入館料が無料になる。
開発途中の『See-Through Captions』は、今後の実用化が期待される。この夏は、ダイバーシティのための新たな取り組みを試してみよう。
日本科学未来館『ろう・難聴者向けの展示ツアー』の詳細はこちら
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