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2022年7月15日(金)〜27日(水)、「MALE ART 2022 男のフェチズム展2」が新宿眼科画廊で開催。LGBTQのイベントを多数開催する、「RainbowEvents」がプロモーションを手掛ける。
作品に共通しているテーマは「男性を主体として絵を描く」ということ。TORAJIROを筆頭とする、5人の異彩を放つ出展アーティストは、どのように男のフェチズムを表現するのだろうか。オーガナイザーでありアーティストのTORAJIROに、今回の展示と自身の作品について聞いた。
ー会期に至った経緯について教えてください。
私にとってフェチズムは、好きな対象へのこだわりであり、隠そうとしても隠せないものです。絵画を通して表現される「直接的な好き」から反対に、間接的に表現されることで生まれる「問いかけ」など、男性に対する新しい視点や発見、共感につながる場を提供したいと思ったことがきっかけになりました。
ー展示のテーマでもある「男のフェチズム」は、ご自身の作品にどのように影響しているのでしょうか?
私にとって、男性のフェチズムには「憂い」が存在します。幼少期からセクシュアルマイノリティーとしての孤独感や不安を感じ、社会で働いてからも変わらず根付いています。いくら鍛えられた大きな体の持ち主でも、本当の自分を隠して生きていくことへのつらさ、自分に正直になることへの恐怖など、繊細な気持ちを心の内に秘めているのです。
なので、明るい色調、たくましい体を描いた絵の中でも、それに反するように秘めた悲しみの表情が際立っていることが多く、決して笑顔ではない彼らの表情が言葉にはできない「何か」を物語っています。もう一つ、私の絵に動物が登場する理由は、セクシュアリティーなど、分け隔てなく人間のそばに寄り添ってくれる癒やしを与えたいと考えたからです。
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ー男性の絵を描き続ける理由などはありますか?
私は大学の頃から今までと変わらず、日本画を通して「憂い」をテーマとした男性を描いてきました。私が感じていることは大多数の人が持っていると感じていたのですが、知る限りだと、同じようなテーマで表現している人は少ない印象です。「それなら私が描くしかない!」といった気持ちで、今までずっと同じテーマで男性の絵を描いています。
今回の展示では、TORAJIROのほか、腐女子の現代美術家である成瀬ノンノウ、男性人物画を専門とするShinji Horimura、男性のヌードをモチーフにエロスをポップに描き上げるFUM、男性性を追求した作品を展開する奥津直道が参加し、各々のアーティストの持つ独特な視点から作品が展開されています。一つの空間で、日本画、アクリル、水彩など、さまざまな手法で描いた男性を楽しめる展示なので、ぜひ足を運んでみてください。
「MALE ART 2022 男のフェチズム展2」の詳細はこちら
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