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2023年12月6日、大塚にオープンした「マンション台北」は、現地の味わいにとことんこだわった台湾家庭料理専門店だ。同店は江戸川橋の「フジ コミュニケーション」や白山の「オルソー(also)」を手がけたオルソーの新業態である。
大塚駅南口から徒歩約4分、路地裏のビルの階段を2階に上がるとナチュラルワインの空き瓶が出迎えてくれた。ラインアップを見るからに、扉の先に広がる料理のポテンシャルに胸が高鳴る。
台湾の雰囲気で彩られたインテリアが配置されており、現地の料理店に迷い込んだかのよう。台湾ビールの緑色をイメージした緑の濃淡で統一された店内は、壁に飾られた赤文字のメニューが印象的である。
半円のテーブルはオーナーの近藤喬哉が手作りしたという。食器やカトラリー、調度品はほとんどが台湾で買い付けたもの。ないものなら自分で作るという近藤のこだわりは、細部にまで感じられるだろう。
「やりたいことをとことんやる」をテーマにした店づくり
オープンする際に大切にしたテーマは「やりたいことをとことんやること」だと近藤は話す。これまでのヒットメーカーとしての役割を果たす店作りということではなく、台湾家庭料理を極めることをテーマとしたのだ。
フジ コミュニケーションでは「水餃子」を、オルソーでは「台湾ワンタン」に着目し、いち早く世に広めてきた。新業態のマンション台北では、台湾料理の中でも小籠包や魯肉飯(ルーローファン)といった王道料理ではなく、煮込み料理や家庭料理に的を絞った。
「爌肉飯(コンローハン)」の人気を確信
「爌肉飯(コンローハン=台湾風豚角煮丼)
台中では定番の家庭料理で、同店では皮付きの豚バラ肉を串で刺して煮込む。陳皮(ミカンの皮)、シナモン、八角などで下ゆでし、醤油にんにくのタレで煮込んでいく。これが「歯が要らないほど」柔らかくジューシーで、何よりも見た目のインパクトがすごい。凝縮されたおいしさを、とにかく一度体験してほしい。
平日のランチタイムは副菜とスープがついた「爌肉飯ランチセット」(1,100円、以下全て税込み)がおすすめ。ほかにも「猪油葱拌麺(ヂュウヨウツォンバンミェン)」(800円)や「排骨飯(パイコーハン)」(1,000円)など手頃なセットメニューが7種類ほど揃う。どれも聞き慣れない料理だからこそ、全て制覇したくなる。
ディナーには小皿料理を思いのままに
ディナータイムは、種類豊富な小皿料理をテーブルに並べて楽しみたい。冷菜や一品料理は190〜790円という価格帯で、思う存分楽しめそうだ。
中でも注目すべきは「滷豬腳(ローディーカー)」。豚足の煮込み料理で、ひづめ(330円)と関節(390円)の2種類の部位が用意されている。中国や台湾出身の人が来店した際はほぼ注文する、という本場顔負けの味わいである。
「香菜干絲(シャンツァイカンス)」(590円)や「菜脯蛋(ツァイブータン)」(680円)も人気を集める。
香菜干絲は、干豆腐にパクチーやセロリを混ぜ合わせ、山椒油とネギ油、台湾醤油で和えた冷菜だ。煮込み料理の合間についつい箸が進むサラダ感覚の一品である。
菜脯蛋は干し大根入りのシンプルな卵焼き。台湾の伝統食材である干し大根は、塩漬けした大根を干して作る。十分な塩味があるので、調味料を必要としない。
台湾ビールでスタート、ナチュラルワインも楽しめる
ドリンクは、台湾ビール(620円)、パイナップルビール(650円)などの王道の選択を冷蔵庫の中から選ぼう。そして、オルソーが手がけるからにはナチュラルワインにも注目したい。日替わりで常時5種類ほど(1杯900円から)用意されているワインは、台湾料理との相性もよく、料理に合わせてセレクトしたい。
たくさん頼んでも財布に優しい、家庭料理だからこその満足度がここにはある。
大通りから一本路地に入ったところにある同店は、まず見つけにくい。そして、外観を見る限り入りづらい。ただ、一度その扉を開けると、そのネガティブな印象は180度変わる。自分だけが知る秘密基地のように、他人には教えたくない、とっておきの場所になることを保証しよう。
「コアな人たちの輪がゆっくりと広がる店になればいい」と近藤は言う。料理長兼店長の西村欣晋の温かい笑みと心のこもった台湾家庭料理は、訪れる人々を次々とりこにすることだろう。
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