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酔っていない、シラフなどの意味を持つ「Sober」と、好奇心を指す「Curious」を合わせた「Sober Curious(ソバーキュリアス)」という生き方が、近年注目されている。一言で言うと「酒を飲まない人」という意味だが、時代に沿った魅力があるようだ。
2021年5月28日、学芸大学駅前のにぎやかな通りから少し歩いた一角にオープンした、ロー アルコホリック カフェ マルク(Low Alcoholic Cafe MARUKU)は、ノンアルコール、ローアルコール専門のECサイトからスタートした実店舗。アルコールを飲む人も、飲まない人も分け隔てなく楽しめるバーとして注目を集めている。
小説家の桜井鈴茂が選ぶ「ノンアル」「ローアル」の魅力
店を営むのは、小説家の桜井鈴茂。店内には、桜井が選曲したレコードが穏やかに流れている。オープンのきっかけは、友人であるミュージシャンの曽我部恵一が下北沢で経営している、シティー カントリー シティ(CITY COUNTRY CITY)の定休日を間借りして週一のみのビストロを始めたことだという。
クラフトビールやワインに造詣が深く酒好きだったという桜井は、ノンアルコール、ローアルコールの魅力に気付いたきっかけを語ってくれた。
「お酒を飲み続けて早30年。深酒をすると回復にも時間がかかるようになって、だからといって急にジュースには変更できない。そんな頃、ドイツのノンアルビールを取り寄せてみたらとてもおいしくて。酒を飲まない、飲めないからというネガティブな理由で『ノンアル』を選ぶのではなく、進歩的な楽しみ方としてその魅力に気付きました」
排除しない楽しみ方、酒の種類を変えたという感覚
2020年9月からは、現在も運営するECサイトの運営を始めた。オンラインショップには、国産品をはじめドイツ、フランス、スペインなど、世界中のノンアルコールビール、ワインがそろっている。「進歩としてのノンアル文化」について、桜井はまた次のように話す。
「店名の『ロー アルコホリック』は、ノンアルコールメニューがほとんどだけどアルコールも置いてますよ、という意味。何かを排除するのが好きじゃないから、アルコール飲まない人も、飲みたい人も共に楽しめる場所を作ろうと思いました。自分も元々酒が好きだし、『ノンアル』を選ぶことは酒の種類を変えたという感覚に近いかな」
おいしいタパスと「ノンアル」がつくる優雅な時間
店頭では、オリジナル『MARUKU アルコールフリー・ラガー』『MARUKU アルコールフリー・スタウト』(各715円)や、ドイツの『エルディンガー』(660円)をはじめ、国内外さまざまな約30種類のノンアルコール、ローアルコール飲料を販売。店内ではドリンクと一緒においしい食事が楽しめる。
人気の『タパスプレート』(990円)は、ファラフェル、フムス、鶏ハム、紫キャベツ&キャロットラペ、トマトのバルサミコ酢づけ、クラッカーなどが乗った一皿。いちおしは優しい味わいの『ファラフェル』(550円)で、そのほか『エビと夏野菜のジュレ』(660円)など季節の素材を使った逸品や、『ガトーショコラ』(550円)、『カップソフトクリーム』(550円)などデザートも並ぶ。
「おいしいタパスをつまみながら『ノンアル』を飲む時間は優雅なものです。自立した大人の文化として『ノンアル』が広がってほしい」、桜井は最後にそう語ってくれた。今回初めて本格的なノンアルコールビールを試した筆者だが、その味わいの奥深さと面白さには驚かされた。学芸大学に訪れた際は、ぜひ一度体験してみてほしい。
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