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ロンドンには入場無料の美術館がいくつもあり、世界の名だたる芸術作品が集められている。だが、そうした施設のことは忘れよう。なぜなら、今必要なのは、もっと身近なアートに出合える、有料の美術館なのだから。
まさにそんな美術館が実現するようだ。ウェブメディアのianVisitsがこのニュースを最初に報じたのは2023年8月のこと。その後、建物の使用用途を商業用から教育・芸術用に変更するという手続きを経て、計画を進める許可が下りた。
場所は300以上の店が連なる大通りであるオックスフォード・ストリートで、すぐそばには、通りのシンボルであるマーブル・アーチが位置するという立地だ。1920年代の巨大な建物の3フロア全てを使い、カウズ、草間彌生、バンクシーといったアーティストの作品を展示することが計画されている。
美術館は私立で、名称は「Moco」。オランダのアムステルダム、スペインのバルセロナに続き、ヨーロッパで3つ目の系列館となる。アムステルダム、バルセロナの施設には年間100万人近くが来場しているようだ。どちらも入場料が必要で、前者は21.95ユーロ(約3,460円)、後者は14.95ユーロ(約2,360円)となっている。
メインで扱われるのはポップアートとストリートアートやNFTで、バンクシー、スティック、カウズといったアーティストらの作品が展示されるようだ。 公式ウェブサイトには、バスキアやウォーホル、草間らの作品もコレクションに含まれるとある。しかし、どの作品を所蔵しているかは明らかになっていないのはやや気になる。というのも、価値の高い作品を所蔵していたら、声高にアピールしそうなものだからだ。
オックスフォード・ストリートは近年、大手ブランドの相次ぐ撤退、客足の激減、家賃の高騰といった困難に見舞われてきた。そのことを踏まえれば、今回のニュースは歓迎すべきものだろう。
だから、国立の美術館で最高峰の作品を無料で見られることは、いったん忘れて喜ぼう。バンクシーの大規模展が(内容が良くなく、価格が高くとも)すでに開催済みであることも、「主要作家」の「大規模展」が次から次へと開催されることも脇に置こう。少なくとも、アメリカ風のキャンディーショップではなく、美術館がオープンするのだから。
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