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モダニズム彫刻、フェミニストのインスタレーション、ルネサンスの劇的事件、子どもの遊び、シカゴ、そしてベーコン……。ロンドンの2024年アートシーンは、ファンの誰もが、あらゆるテイストのものを少しずつ楽しめるバラエティーに富んだものになりそうだ。
今年は先進的な没入感や常識を覆すようなコンセプチュアリズムにとって輝かしい年になるとは思えないが、カラヴァッジョを楽しみにしている人にそんなものは必要ないだろう。ここで取り上げたのは主に超メジャー級の展示だが、ロンドンの小さなギャラリーには、目を凝らすべき興味深い作品が無数にある。
今年のロンドンで観るべき主要な美術館の展覧会を紹介しよう。
バーバラ・クルーガー「THINKING OF YOU. I MEAN ME. I MEAN YOU.」
「サーペンタイン ギャラリー(Serpentine Gallery)」は2024年の幕開けとして、最も直接的で対立的、シンプルで効果的なアーティストの一人を紹介する。バーバラ・クルーガーは、大胆なイメージとテキストを組み合わせてアメリカ人であることを一目で認識させ、多大な影響を与えてきた。
この展覧会では過去の作品をビデオ作品として再構成。サウンドスケープとマッシュアップされることで、彼女のアートを完全に没入できる形で体験することができる。
会期:2024年2月1日(木)〜3月17日(日)
場所:サーペンタイン ギャラリー
「When Form Comes Alive: 60 Years of Restless Sculpture」
くねくね、ゆらゆら、ゴツゴツ、でこぼこ。「ヘイワード ギャラリー(Hayward Gallery)」での2024年最初の展示は、彫刻における有機的なフォルムがテーマだ。並ぶのは流動性、曲線性、塊感、触感を表現するフランツ・ヴェスト、フィリダ・バーロウ、ホリー・ヘンドリー、エバ・ファブレガスといったアーティストの作品。このような大規模で焦点が明確に絞られたグループ展のアプローチは、同ギャラリーが最も得意とするところといえる。
「重力のポエティックス」をテーマにした「乱雑に増殖する」彫刻に備えよう。それがどういう意味であれ、だ。
会期: 2024年2月7日(水)〜5月6日(月)
場所: ヘイワード ギャラリー
フランク・アウアーバッハ「The Charcoal Heads」
ランシス・ベーコンやルシアン・フロイトらととも芸術集団である「スクール・オブ・ロンドン」のメンバーだったフランク・アウアーバッハは、20世紀のイギリスで最も重要なアーティストの一人とみなされている。昨年、「Hazlitt Holland-Hibbert」で開催された新作の自画像をフィーチャーした小さな展覧会は、彼がまだ健在であることの証明となった。
今回の「コートールド ギャラリー(Courtauld Gallery)」での展示では、1950年代から60年代にかけて木炭で描かれた肖像画を振り返る。
会期:2024年2月9日(金)〜5月27日(月)
場所:コートールド ギャラリー
オノ・ヨーコ「Music of the Mind」
オノ・ヨーコの名声はあまりにも巨大で、その名前は至る所で見聞きする。ただそれ故に、我々は彼女が実験的アートの代表であるという事実を忘れてしまっているといえる。彼女はパフォーマンス、映画、ドローイング作品を手がけ、フルクサスの一員であり、音楽を作り、平和のために戦ってきた。言い換えれば、彼女は完全に本物であり、完全に見過ごされている。
彼女の作品は常に先鋭的、真剣、そしてしばしば非常に滑稽である。これ以上望むものはないはずだ。
会期:2024年2月15日(木)〜9月1日(日)
場所:テート モダン(Tate Modern)
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ「The Last Caravaggio」
ルネサンス期の画家の中で、その作品(闇、影、光が特徴)と人生(殺人を犯し、報復に遭い、梅毒になった)の両方において最もドラマティックだったのは、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオだろう。晩年、彼は最も劇的な作品を生み出している。
この小さな無料の展覧会で焦点が当てられるのは、彼の最後の作品とされる「聖ウルスラの殉教」。イタリアから貸与されるこの絵画がロンドンで展示されるのは、20年ぶりだという。死、暴力、血、闇に満ちた作品を観られるのが本当に待ち遠しい。
会期:2024年4月18日(木)〜7月21日(日)
場所:ナショナル ギャラリー(National Gallery)
ジュディ・シカゴ「Revelations」
ジュディ・シカゴほど「アイコン」と呼ばれるのにふさわしいアーティストはいない。彼女はそのキャリアで文字通り煙と火を多用し、フェミニズムアートの道を切り開いてきた。
生み出してきたのはトリップするような渦巻く色彩、巧妙なコンセプチュアルインスタレーション、そして大いなる正義感からくる怒りに満ちた作品。どういうわけか、今回がロンドンの主要アート施設での初個展となる。
会期:2024年5月22日(水)〜9月1日(日)
場所:サーペンタイン ギャラリー
ザネレ・ムホリ
南アフリカのビジュアルアクティビスト、ザネレ・ムホリのキャリア中期にフォーカスを当てたこの展覧会では、黒人LGBTQI+の多面的な見方を提示することに力が注がれた、幅広く力強い作品群を観ることができる。
今展はパンデミックが始まった頃に開催された展覧会をベースとしたもの。しかし、新たに労働、人種差別、性差別、性的政治といった重要なテーマに取り組んだ最新作が追加されている。
会期:2024年6月6日(木)〜2025年1月26日(日)
場所:テートモダン
フランシス・アリス
ベルギー出身のアーティストであるフランシス・アレイスは氷の塊を押してメキシコシティを横断し、炎のサッカーボールを蹴り、パレスチナに線を引き、そして山を動かしもした。彼は、大きなメッセージを伝えるために大きな行動をとる。現在、最も影響力があり誰もが知っているコンセプチュアルアーティストの一人だろう。
そして今度彼が挑むのは、世界で見られるさまざまな形の子どもの遊びに関する展覧会だ。
会期:2024年6月27日(木)〜9月1日(日)
場所:バービカン センター(Barbican Centre)
フィンセント・ファン・ゴッホ「Poets and Lovers」
2024年最大の超大作展へようこそ。ナショナル ギャラリーが、美術史に残る巨匠の一人を大々的に取り上げる。「星降る夜」や「黄色い家」も、もちろん出展。大ヒットするだろし、チケットも高額になるだろう。
会期:2024年9月14日(土)〜2025年1月19日(日)
場所:ナショナル ギャラリー
マイク・ケリー「Ghost and Spirit」
アメリカ人アーティストのマイク・ケリーは彫刻インスタレーション、ファウンド・オブジェ、パフォーマンス、サウンドワークなどをめまぐるしく展開しながら、アメリカと若者の観念を引き裂いた。
その結果は、ぬいぐるみや汚れに満ちた不穏なものであることが多いが、常に本質的で重要で、アンダーグラウンドで、力強いものである。これはパンクス、ホーボー、マニアのためのアートといえる。
会期: 2024年10月2日(水)〜2025年3月9日(日)
場所:テートモダン
フランシス・ベーコン「Francis Bacon Portraits」
ベーコンが過剰摂取になることはあるのだろうか。心療内科医はそう思っているかもしれないが、ナショナル ポートレート ギャラリー(National Portrait Gallery)は心底違うようだ。
フランシス・ベーコンの最高傑作の肖像画を、この野心的な超大作展で存分に堪能しよう。 彼の作品のほとんどは肖像画と言えるかもしれないが、それだけで満足するのはもったいない。
会期:2024年10月10日(木)〜2025年1月19日(日)
場所:ナショナル ポートレート ギャラリー
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