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観光は多くの自治体にとって経済的に必要なものだが、それにうんざりしている場所も少なくない。中には「一切近づかないように」と観光客に求めるところもある。
観光客の極端な流入に対処するため、Googleやアップルが提供するオンラインマップから(ある意味で)その場所を「削除」するという、かなり独創的な手段をとったスペインの地域がある。
バルセロナのグラシア地区のラ・サルートという地域には、「サグラダ・ファミリア」に次ぎバルセロナで2番目に人気の観光スポット、「グエル公園」がある。カタルーニャを代表するパイオニア的建築家のアントニ・ガウディがデザインした、モザイクが特徴的な広大な屋外空間はまさに圧巻だ。
しかし、その人気によってラ・サルートは、地元の人々にとっては悪夢のような場所となっている。特に高齢の住民が、何年も前から人混みで苦労していること、公共交通機関の座席に座れないことに不満を抱いているのだ。
その対策として、オンラインマップからラ・サルートに関する情報が削除された、というわけである。といっても、消されたのは同地を通るバスの路線。対象となったのは、多くの住民が帰宅の足としている116番のバス路線だ。
このバスは、年間900万人が訪れるというグエル公園が位置するカルメルヒルを通るため、特に観光客であふれかえっていた。そのため、席を確保するのが難しかったのも無理はないといえる。「以前は、つえをついた人も乗れないほど、バスは満員でした」と、75歳の市民の一人が地元オンライン新聞のエル・ディアリオに語った。
この削除を手配したのは、市議会。地元の活動家、セサール・サンチェスはガーディアン紙に「 私たちは最初、このアイデアを笑った。しかし、この対策がこれほど効果的であることに驚いています」と話している。
地元の人々が、この新しい措置の恩恵を受け続けることを願っている。
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