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隈研吾の個展が開幕、ネコ目線で見直す都市など5つの見どころを紹介

東京国立近代美術館で9月26日まで開催

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Time Out editors
Photo: Keisuke Tanigawa
Photo: Keisuke Tanigawa
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国立競技場などを手がけた現代日本を代表する建築家の一人、隈研吾の大規模個展隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』が、東京国立近代美術館2021年926日(日)まで開催中だ。

同展では、その作品の中でも公共性の高い68件の建築を紹介するほか、映像作品、前庭に展示されるトレーラーハウスを合わせ、合計74件が第1会場(有料)と第2会場(無料)に分かれて並ぶ。本記事では、今回の大規模個展の楽しみ方を紹介する。 

Photo: Keisuke Tanigawa
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1. 隈独自の5原則で68の建築を知る。

有料エリアとなる第1会場では、世界各地に点在する隈作品を建築模型や写真、モックアップ(部分の原寸模型)を、隈が考える建築の5つの原則「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」の5原則に従って分類、紹介している。

Photo: Keisuke Tanigawa
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実際の建築は複数の方法論を組み合わせているが、同展では一つの建物に対し、一つの方法論にクローズアップして分類した。例えば、屋根の素材に膜を使っている『高輪ゲートウェイ駅』は「やわらかい」に分類。3つの建物の間にナカドマという大きな吹き抜けを設けた『アオーレ長岡』や、建物にトンネルのような孔を開け、街と里山がつながるように設計した『那珂川町馬頭広重美術館』は「孔」に分類される。

「あの作品は何に分類されているんだろう」なんて見方も楽しいかもしれない。

2. 新作や最先端の技術を用いた体験展示が楽しめる。

Photo: Keisuke Tanigawa
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名だたるアーティストの映像作品によって隈の建築を鑑賞できるのも、今回の大きな見どころだ。高知県梼原(ゆすはら)町にある隈による6つの建築を、写真家で映像作家の瀧本幹也がハイスピードカメラで撮影し、坂本龍一の音楽を組み合わせて4Kの映像インスタレーションに昇華させた作品は必見。

アメリカの『TIME』誌で「2019年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」に選出された、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館の初の分館であるスコットランドの『V&Aダンディー』は、アイルランドのマクローリン兄弟によるアバンギャルドなタイムラプスで紹介されている。斜めに立ち上がる吹き抜け空間が特徴的な、富山県の複合施設『TOYAMA キラリ』をドローンで撮影した360VR作品も見ておきたい。

3. ネコ目線で都市生活を見直すプロジェクト?

Photo: Keisuke Tanigawa
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1964年の東京オリンピック開催前の1961年、建築家の丹下健三は、東京湾上の海上都市を提案した『東京計画1960』を発表して話題を呼んだ。今回発表された『東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則』(第2会場)は、そんな丹下の計画への応答となるプレゼンテーションだ。

隈は、日本を代表するデザインイノベーションファームTakramと協働で、神楽坂のネコたちにGPSを付けて彼らの生態を調査した。それをもとに、コロナ禍以降の人間は、わずかなすき間を頼りにそこを自分たちのベースとする半ノラのネコの在り方に学ぶべきである、という提唱がなされる。

4. 隈本人による作品解説もネコ目線。

Photo: Keisuke Tanigawa
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今回展示される全68件の建築は、隈本人が「ネコ目線」で解説しており、会場に掲示された「感染拡大防止のためのお願い」にもネコが登場する。なお、展示デザインは隈研吾建築都市設計事務所が行っている。

5. 国立競技場の内部を知る。

Photo: Keisuke Tanigawa
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隈が関わったプロジェクトは、未完のものを含めると間もなく1000件に上るが、今注目すべきは『国立競技場』だろう。同展では選手や関係者以外入ることはないであろうインタビューゾーンに置かれる、行灯(あんどん)を想起させる大型の照明を公開。

隈はこの照明をデザインする際、行灯や御簾(みす)がもたらす日本的な光をイメージしてデザインしたという。競技場自体についても、設計のプロセスで大量に作られたスタディ模型の中から約40点を厳選して紹介する。

『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』の詳細はこちら

テキスト:長谷川あや

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