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「小楽園」は、ジオラマのようなチョコレート菓子「山菓子」を提案する和洋菓子ブランドだ。これまでもポップアップショップやオンラインショップなどで展開し話題を呼んできた同店が、代々木上原にティーサロン&ブティックとして初の常設店をオープンさせた。
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同店を代表するのが、日本の美しい山々を手のひらサイズで表現した「山菓子」。国土地理院の実際の地形データを元に型から製作するという精巧な作りで、まさに、食べるジオラマだ。それぞれの山にはその地方の厳選された特産物を使用するというこだわりで、そのフォトジェニックなルックスは、早速SNSをにぎわせている。
店主の矢島沙夜子は、「飛行機の上から見る山々が大好きで、それをお菓子にしたいと考えました」と、「山菓子」の製作した経緯を振り返る。
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実店舗には、10席ほどのティーサロン(予約制)を併設。テイクアウトだけでなく、イートインにも対応する。「山菓子」とともに、和洋折衷の菓子や台湾茶、オリジナルショコラショーなどのドリンクを提供。アルコールもある。
さて、肝心の「山菓子」だが、実店舗に合わせて満を持して登場した「富士山」を含め、6つの山がラインアップしている。
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「いずれは日本にある全ての山を制作したいと考えていますが、まずは北から南までまんべんなく。あまり知られていない山も紹介したいと思っています。最初のラインアップとしては、北海道の利尻山や、小さな山ですがかたちが象徴的な大室山など、私の独断と偏見で選んでいます」(矢島) 「登山の際に、その山のお菓子を持っていき、頂上で記念撮影してから、食べるといったお客さまもいらっしゃるんですよ」(矢島)というように、じっくり愛でてから切り崩したくなる精巧さだ。
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断面は、ガナッシュ、スポンジ、果実やナッツが地層のように重なっている。例えば、看板商品ともいえる「富士山」は、「日本を代表する山。和風のテイストにしたかった」と矢島が語るように、上には桜の葉の塩漬けが入ったイチゴのガナッシュ、下には桜の花のガナッシュを使用。さらに小豆と抹茶を混ぜて仕上げており、桜餅のような味わいが楽しめる。
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「利尻山」はラムレーズンのガナッシュをベースにしているが、利尻昆布を隠し味に使い、オホーツクの塩をきかせた。由布岳は大分のユズを使い、和風チャイのように仕立てている。「桜島御岳」には鹿児島の芋焼酎とパッションフルーツを使っている。 なお桜島北岳、利尻山、由布岳、大室山、八丈島西山の5つのボンボンショコラをセットにした「雛山 5個セット」(テイクアウトのみ3,780円)もフォトジェニックだ。もはやお菓子であることを忘れそうになる。
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テイクアウト用の「小楽園のおこし缶」(1,950円)も用意。キュートなオリジナル缶の中に、バターとしょうゆで仕上げたみたらし風味の甘じょっぱいカリカリが癖になるオリジナルのおこしと、黒胡麻をまぶした香ばしい3種のキャラメリゼナッツ、柚子胡椒風味のかりんとう、梅とニッキと抹茶の味の金平糖を詰め合わせた。
改めてになるが、実店舗のコンセプトは、「桃源郷の土産物屋」だという。外観や内観、トイレに至るまでその世界観を踏襲したものとなっており、矢島は、「浦島太郎が竜宮城で受けたようなおもてなしを表現してみたかったんです。きっとそこには、八百万神(やおよろずのかみ)も遊びに来ていて、人間界の美しいもの、例えば山などを愛でていたのではないかなと想像を巡らせました」と語る。
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店内は、「いったいどんな意味があるんだろう……?」「えーと、ここはどこだっけ?」とツッコミを入れたくなるような、個性的な細工が随所に施されている。キツネやサケを抱えた熊などの置物も置かれていた。ショーケースの後ろにあるピザ窯のようなものは、「いずれはここでたい焼きをやりたいと思っているんです」(矢島)とのこと。
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「神さまももてなしできるような架空の桃源郷」は、今後、ますます摩訶不思議度を増していきそうだ。
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