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作り手への敬意を感じるアバンギャルドなビストロ、イオが高円寺に登場

クリエーティブ・ベース「TEN10」が生産者やシェフらと作る新たな表現

編集:
Genya Aoki
テキスト::
Mae Kakizaki
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Photo: Kisa Toyoshimaエントランス
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新高円寺駅から徒歩4分、ルック商店街のそばにビストロ、イオ(iiiio)が2022年4月8日にオープンした。手がけるのは、スタイリストやデザイナーなどそれぞれの専門性やジャンルの垣根を越えて集うクリエーター集団であるテン(TEN10)だ。代表を務める市野沢祐大の地元、茨城県で収穫された野菜をはじめ、全国各地から厳選した食材を使った料理がリーズナブルに楽しめる。

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Photo: Kisa Toyoshima

住宅や商店が並ぶ一画にびる細いアプローチを進むと見える白いのれん。以前は割烹(かっぽう)料理店だったという外観の雰囲気を生かし、大人の隠れ家感あふれるたたずまいである。店内に入ると外から見た印象とは一転、モダンでアバンギャルドな空間が広がる。座席は、カウンター席と掘りごたつ席の2タイプを用意する。

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Photo: Kisa Toyoshima

「中は玄関部分を除いて、ほぼフルリノベーションしました」と市野沢が話す通り、随所にこだわりが見て取れる。玄関とカウンター席部分を隔てる壁には、ベルリンとパリに拠点を置くデザインユニットのブレス(BLESS)の壁紙をラッピング。カウンター席の椅子にはインテリアデザイナーの内田繁が手がけたメイクアップチェアを用いるなど、花器やオブジェの一つ一つに至るまで市野沢の審美眼によってセレクトされている。

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Photo: Kisa Toyoshima

キッチンを囲むように配されたL字カウンターの奥には、以前の所有者から引き継がれたという囲炉裏(いろり)がのぞく。北海道産エゾジカや熊本県産和牛を使った炭火焼料理などの調理に活用されるという。「ガスよりも食材にムラなく火が入るため、肉の焼き加減や香りの立ち方などが格段に違う」とシェフの國府田直也は語る。

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Photo: Kisa Toyoshima

定番メニューの『北海道産エゾジカのつくね』(1,000円)も、囲炉裏を使って作られた一品。近年注目されているジビエの一つでもある鹿肉は、獣臭さを一切感じることなく、普段食べ慣れている肉のような感覚で食べることができる。

鹿肉は網脂で巻いて焼くことで、ジューシーさやうま味がアップするという。そんな肉料理と一緒に合わせたいアルコール類も、ナチュールワインやクラフトビール、クラフトジンなど、作り手の顔が見える銘柄を豊富にラインアップする。

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Photo: Kisa Toyoshima

前菜の『生マッシュルームとホワイトセロリのサラダ』(900円)も、これまでの概念を覆すような一皿。静岡県産のマッシュルームを生のまま使用し、その上に茨城県常陸太田市で水耕栽培されているホワイトセロリを盛ったシンプルな料理なのだが、それぞれの野菜の味わいが一般的なそれとは異なるのだ。

生でもしっかりと伝わってくるマッシュルームのうま味と、ホワイトセロリの爽やかな後味がこの上なく調和する。味付けは自家製の粒マスタードを中心に最低限で仕上げ、素材の味が存分に生かされている。

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Photo: Kisa Toyoshima

店内装飾同様、使用する食材の一つ一つにこだわりを持つ同店。時には産地へ直接足を運び、生産者と関係を築きながら、それぞれの食材の生産過程も目にしてきた。

これまで主戦場としていたファッションの分野から飲食の分野に進出したのも、食にまつわる生産者や作り手もクリエーターであるという考えがあったから。「僕たちテンの考え方には、クリエーターとリスペクトでつながっているというのが大前提にあります。デザインも飲食も、作り手たちのクリエーションに敬意を込めて、自分たちなりの表現をしていきたいと思います」と 最高執行責任者(COO)の志賀光は話す。 

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Photo: Kisa Toyoshima

一見、格式高い雰囲気をまとっているが、料理やドリンクは1,000~2,000円前後と気負わない価格帯なのも良いところだろう。一つのジャンルに縛られず、多面的な視点で活躍の幅を広げるテン。国内外の良質なプロダクトに精通する彼らが手がけるイオに赴けば、さまざまな感性を養うことができるはずだ。

イオの詳細情報はこちら

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