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世界各国の人形を所蔵する博物館である横浜人形の家で、ぬいぐるみ作品を中心に制作を続ける片岡メリヤスによる展覧会『片岡メリヤス10周年記念展「メリヤスの人形の家」』が2022年3月13日(日)まで開催されている。創作活動10周年を記念して、当館に収蔵する民族人形や民芸品、ビスクドールなど100点をモデルにしたぬいぐるみの数々が登場。ここでは、展覧会の見どころを紹介する。
個性にあふれるぬいぐるみたちが大集合
本展に登場する作品のモチーフに選ばれた100体のうち、80体は作家本人、20体を博物館スタッフがセレクトした。片岡は、これほどたくさんの作品を1年以内に制作したそうだ。実物ではなく収蔵品の画像をもとに制作を手がけ、実際にモチーフを見たのは搬入の時だったという。会場ではモチーフと作品を並べて展示されているが、サイズ感の違いや画像から解釈した片岡の視点に注目をすると、より味わい深い鑑賞ができるだろう。
作品には、片岡が新しくつけた名前とそのぬいぐるみにまつわる妄想エピソードが添えられている。一つ一つ見ていくと「『二の腕すごいちゃん』こう見えて身体を鍛えている。好物はプロテインで毎日筋トレをしているが腕しか太くならないのが悩み。おしゃれも忘れない」「『バッテンでしょ』まさかの扇風機だなんて自分自身が信じられない。毛が生えているし柔らかいし羽根も回らないのに扇風機をやっていく自信がない」など、 どれもなかなかのセンスで思わず笑みがこぼれてしまう。
中には、風車やワラなど表情のないものを擬人化させた作品もある。眉毛の角度や顔のパーツのバランスなど一体一体の表情が異なり、ぬいぐるみに命が宿っているような感じが伝わってくる。
特別コーナーや参加型イベントも
会場奥には小さなステージがあり、20分おきに音楽とともに幕が開いて機構で表現された人形劇が繰り広げられる。頭と体が反対方向に回っているぬいぐるみがいたり、うねうねと動くキャラクターがいたり、繰り返し見たくなってしまうようなシュールさがたまらない。
さらに、季節のイベントに合わせ『サンタさん』『ダルマ』『ハート』『ひな人形』の4種類のぬいぐるみが、それぞれの期間ごとに展示される。全作品が気になる人は、登場する期間に合わせて会場を訪れてみよう。
なお、展示されている作品のうち90点ほどが抽選で販売される。世界に一つだけしかない貴重なぬいぐるみを手に入れることができるのは、またとない機会だろう。そのほか、『オリジナル缶バッジづくり』や『メリヤスの写真くじ』など参加型のイベントも開催しているので、公式ウェブサイトで詳細情報をチェックしてほしい。
子どもから大人までが楽しめるような、遊び心にあふれる片岡の世界観に心奪われるだろう。博物館に眠っている人形に新しい命を吹き込んだぬいぐるみたちに会いに行ってみては。
『片岡メリヤス10周年記念展「メリヤスの人形の家」』の詳細はこちら
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