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2022年11月7日(月)〜28日(月)に歌舞伎座で、市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露および長男の堀越勸玄・八代目市川新之助の初舞台となる「十一月吉例顔見世大歌舞伎」が行われる。
同公演に合わせて、團十郎襲名を寿ぐ特別な「祝幕(いわいまく)」が披露された。制作を担当したのは世界のアートシーンで活躍する現代美術家の村上隆だ。村上は、アーティスト集団「カイカイ・キキ(Kaikai Kiki)」を主宰し、若手アーティストのプロデュースを行うなど活発な活動を展開している。
村上が原画を手がけた祝幕「2022 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番」は、高さ7.1メートル、幅31.8メートルのキャンバスに、歌舞伎十八番の全演目がアクリル絵の具でカラフルにデザインされたものだ。
歌舞伎十八番とは、七代目市川團十郎により制定され、1832年3月に七代目の長男六代目海老蔵の八代目團十郎襲名と、七代目が五代目海老蔵に復する披露興行に先立ち「歌舞妓狂言組十八番」として発表された18個の演目のことである。
村上は記者会見の中で、「大きい絵は建築と同じで、大きな建造物を作るには内部骨格がすごく大事なんですね。この作品は、30メートルの大きさになるという想定の元に描いていたので、そこがしっかりとしています。絵全体に目線が誘導されるようになっていて、日本・西洋どちらの人が見ていただいても、これがいかほどの技術力を持った作品か分かるようになっている次第です」と、今回の祝幕製作で駆使した技術などを語った。
製作のきっかけとなったのは、日本を代表する映画監督の三池崇史である。村上と親交の深い三池が十三代目市川團十郎のドキュメンタリー映画を撮影する中で、「現代の絵師が描く現代の役者絵を作ってほしい」と依頼し、今回のコラボレーションが実現したという。
三池は「團十郎襲名に当たって、海老蔵さんと互角にぶつかれるとびきりおかしな人間は村上さんがふさわしいと思った。2人のエネルギーの総量も、人と違う才能を直接生きるためにぶつけていることも似ている。ぴったりです」と話す。團十郎は「お芝居もそうですが、荒事ってきちんと決まっていることを(村上)先生が教えてくださった」と祝幕の精緻さに感嘆のコメントを寄せた。
三池が構想し、村上によりアート作品として誕生した祝幕は11月興行中、「定式幕」の代わりに使用される。美しい祝幕とともに、十三代目市川團十郎白猿の晴れ舞台を鑑賞してみては。
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