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モダン和菓子の人気店「かんたんなゆめ」が奥渋に新店舗をオープン

小さな高台に位置するインパクト大なたたずまい

Mari Hiratsuka
編集:
Mari Hiratsuka
テキスト::
Aya Hasegawa
かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa
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若き和菓子アーティストの寿里がプロデュースするモダンな和菓子店「かんたんなゆめ」が、2023年3月21日、奥渋エリアにリニューアルオープンを果たした。2019年、渋谷のおでん屋「そのとうり」に間借りをする形でオープン。その後、解体が決まっている築80年のビルに、2年間の期間限定で「かんたんなゆめ 日本橋別邸」を立ち上げた。

かんたんなゆめ 日本橋別館
Photo: Keisuke Tanigawa日本橋別館の様子

日本橋から立ちのきが迫ったことを受け、公園など開放的な場所で和菓子を食べてほしいという思いのもと、公園の近くの店舗を探していた寿里は、小さな高台に位置する現在の店舗に一目ぼれ。「以前の店舗より広くなりましたが、皆さまが過ごしやすいような店内になったと思います!」と顔をほころばせる

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawaインパクトある外観

3階建て(店舗は1、2階)のピンクの建物とネオンライトの看板はインパクト絶大で、「いったい何の店なのか」と扉を開ける人も多いというのもうなずける。

1、2階を合わせて18席ほどの飲食スペースがあり、2階には掛け軸と生花が飾られた「床の間」を設けた。掛け軸の文字は、「壺中日月長」。「忙しい時こそ自分と向き合う時間を大切にしてほしい」という意味があるそうで、開業の経緯ともリンクする。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa生花が飾られている

高校で製菓衛生師の資格を取得した寿里は、会社勤めでストレスがたまった時、「相談に乗ってもらおうと友人の自宅を訪ねたんです。その際、丁寧に淹れていただいたお茶と、季節を彩った美しい和菓子を味わうと、とても幸せな気分になって、悩んでいたことがどうでもよくなってしまいました。自分と向き合う時間を作ることができる和菓子っていいな、普段和菓子を食べない人にも食べてほしいな」と和菓子づくりに着手することを決意する。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa

一度聞いたらなかなか忘れることができない「かんたんなゆめ」という店名だが、「簡単」ではなく、人の世の栄枯盛衰ははかないという意味を持つ「邯鄲(かんたん)の夢」という中国の故事から来ている。寿里はその店名に、「今を大切にしたい」という思いを込めた。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa

「忙しい時にこそ、自分と向き合う時間が必要になってくるのではないでしょうか。ほかの大多数のお菓子はパソコン作業の片手間に食べられるけれど、練り切りとお抹茶をいただく時は一度手を止めて、目で見て楽しんだりゆっくり味わったり。一服する時間をとれるのも和菓子のすてきな部分なんじゃないかなと思います」

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa

そう語る寿里が作る和菓子は、ほかでは食べられない独創的なものばかり。甘さも控えめだ。

看板商品の練り切り(480円、以下全て税込み)は、クリームチーズとレモンの皮を練り込んだ白あんがベース。寿里の出身地である宮崎名物の「チーズ饅頭」にインスピレーションを得ているそうで、レアチーズケーキをほうふつとさせる味わいは、一般的な練り切りのイメージを一変させる。すっきりとした味わいでお酒との相性も良さそうだ。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa

意匠は季節を表わしたものとなっている。また、新店舗のオープンに合わせ、持ち帰り用として眠ったトラを描いたパッケージの「トラの子」(練り切り6つ入り、3,000円)を用意。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa「とらの子Box」

ほかの和菓子のも独創的だ。ゴマバタークリームと粒あんを合わせたものを、ゴマと竹炭のクッキーで挟んだ「来る暮れ」(440円)、ピスタチオとホワイトチョコレートのカップリングが楽しい「ピスタチオ羊羹」(440円)、ライチとグレープフルーツを使用した吉野羹「春風」(440円)などが登場。ラインアップは季節によって変化する。

かんたんなゆめ
Photo: Keisuke Tanigawa季節によって変わる和菓子

「自由にやらせていただいています」と寿里。間借りしていた渋谷の店、そして日本橋の店では、一人で営業していたが、「今回は一緒に働いてくれるスタッフがいるので、以前より営業時間を長くしたり、席数を増やすことも叶いました」。予約なしでの来店やテイクアウト販売も受け付けている(売り切れ次第終了)。

現在は18時30分までの営業だが、「落ち着いたら夜の営業もスタートする予定です」と語る。「和菓子とお菓子、意外と相性がいいんですよ。練り切りのワークショップも再開したいですね」

和菓子ラバーはもちろん、和菓子が苦手な人にこそトライしてほしい、そんな一軒だ。Instagram(@kantan.na.yume)でもキュートな和菓子を発信しているので、気になった人はチェックしてほしい。

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