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2021年11月、三軒茶屋エリアにレコードストアのカンキョーレコーズ(Kankyo Records)がオープンした。ここでは「住環境でのリスニング」をテーマにセレクトしたレコードやCD、カセットテープなどを扱う。今までにありそうでなかったレコードショップだ。
マンションのドアを開けると広がる「非日常的な日常」空間
カンキョーレコーズは、東急田園都市線三軒茶屋駅から10分ほど歩いたマンションの1階にオープンした。ドアを開けて靴を脱いで店内に上がると、真っ白な空間のなかにレコードやCDが並べられている。
ミュージシャンであり建築家でもある店主のH.Takahashiがキュレーションするのは、「住環境でのリスニング」をテーマに世界中から厳選した音楽だ。レコードは300枚前後、CDとカセットテープは各100枚前後を扱う。
一部中古を扱いながらも、メインは近年リリースされたばかりのアンビエントミュージックの新譜だ。浮遊感のある電子音が響く曲もあれば、川のせせらぎなど自然の音をサンプリングした曲や、ゆったりとしたビートの入るローファイ寄りの曲なども。幅広い個性がそろい、いずれも自宅で過ごすあらゆるシーンにマッチしそうだ。
店主に声をかければ、その場で収録曲を試聴できる。「こういうイメージの曲が欲しい」という要望を伝えると、その場で音楽をセレクトしてくれることも。
「住環境」そのものに目を向け、あらゆる要素を抽出
扱うのは音楽だけではない。「より良い環境でのリスニング体験」というコンセプトのもと、現在は食器などのホームウエアも扱っている。
2022年2月時点でキュレーションしているのは、例えば作家自身が「周りの環境から影響を受けて作った」というハンドメイドの皿やマグカップ。今後は食器だけではなく、クッションや家具、オーディオなども取り扱っていく予定だ。
また、グラフィックデザイナーの大澤悠大によるスタイリッシュなロゴデザインをあしらったトートバッグやTシャツも販売。トートバッグは12インチレコードがぴったりと収まるサイズ感で、商品を1万円以上購入すると無料で入手できる。
アンビエントという「沼」を自宅に取り入れて
実はこのレコード店は、空間設計や音響設計、家具製作を専門とする建築事務所のH.Architectureを併設している。音楽と空間の両方に目を向け、人が生活する場所を見直し、新たな提案をする――。コロナ禍で人々が居住空間を見直すようになった昨今、同ショップは音楽好きだけではなく、あらゆる人々のニーズに応える事業を展開していくそうだ。
アンビエントは集中力を高める効果がある音楽として、さまざまなワークスペースでごく自然に活用されている。作業を妨げず、かつ沈黙が邪魔にならないような環境を求める人にとって、アンビエントは最適解の一つだ。H.Takahashiは環境音楽の魅力について、次のように述
「環境音楽には、スッと耳になじむ音の柔らかさがあります。無意
また、部屋の雰囲気にあわせて壁紙や家具を選ぶように、状況に応じ
一度訪れ、自身の住環境にマッチする一曲をぜひ掘り当ててほしい。店舗は不定休のため、営業日をSNSでチェックしてから出かけよう。
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