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2022年8月1日、自由が丘駅から徒歩3分の場所に、緑あふれる一軒家が目を引くベトナム料理店、「ラトリエ ドゥ スタンドバインミー(L’Atelier de Stand Bánh Mì)」がオ―プンした。同店は、ナチュラルワインとフレンチベースのベトナム料理店として学芸大学で大きな話題を呼んだ「スタンドバインミー(Stand Bánh Mì)」 の2号店だ。
店主の白井瑛里は、飯田橋のビストロ「メリメロ」出身。得意分野のナチュラルワインと大好きなベトナム料理の店を開店する際、「酸化防止剤や防腐剤を利用せず、飲み疲れしないナチュラルワインと合わせるなら、化学調味料を多用した本場の料理をそのまま再現するのではなく、自然派の調味料でアレンジしてみてもよいのでは」と考え、無添加・化学調味料不使用で作るフレンチベースのベトナム料理を考案した。「毎日食べても食べ疲れしない味」をモットーに、体に優しい唯一無二のメニューを提供している。
国産米の大量廃棄知り、「国産の米で米麺を広める」ことを決意
1号店は屋台などでよく目にするサンドイッチのバインミーを中心に展開していたが、2号店は前菜や一品料理、メイン料理のほかフォーやフーティウ、ボブンなどの米麺を使った麺類を押し出すことを念頭に置いた。これは、米麺を生産する農家との対話の中で、日本の米の消費量が減少し、大量の米が廃棄されている現状を知ったことがきっかけだ。
「米麺や米粉、米油などを料理に使用することで、日本で新たな米の消費形態を生み出し、米食文化を世の中に広める場を作りたい」という思いから、同店の立ち上げを決意したという。
ベトナムには麺類のほか、米粉の生地で作るお好み焼きのようなバインセオやバインコット、ライスぺーパーなどの食材があり、米という食材を軸に考えると日本と親和性が高い食文化が根づいている。
太陽光がたっぷり降ぐ大きな窓に思わず目を奪われる店内は、ウッディで温かみのある雰囲気が魅力。円卓のテーブル席や窓側のカウンター席のほか、大人数で食卓を囲むことができるダイニングテーブル、緑に囲まれた屋外空間で食事が堪能できるテラス席がある。
イタリアで絵付けした天板を使ったブドウ柄のカウンター席やモロッコで作られた水草のランプシェード、フィンランドのデザイナーが手がけた大テーブルなど、さまざまな国の家具をミックスしたインテリアは不思議と落ち着く空間に仕上がっている。
自由が丘店限定メニューも多数用意
ここを訪れたらぜひ食べておきたいのが、自家製の小エビ発酵だれ「マムトム」と空心菜、ネギ、チャーシュー、煮卵を混ぜ合わせて食べる汁なし混ぜ米麺の「フーティウコー」(1,254円、以下全て税込み)である。海老のうま味とナンプラーのスパイシーさ、黒酢の酸味が見事にマッチしたたれと、つるつるとした食感の生麺は一度食べたらやみつきになること請け合いだ。
ペアリングするなら、どっしりとした飲み口で、油を使った料理にも合うオレンジワイン「エッチェ・オモ」(1,100円)を合わせよう。
夜は「レモングラス薫る大山鶏のロティ~自家製万能辛調味料サーテーのスパイシーローストチキン~」(3,300円)がおすすめ。低温でじっくり時間をかけてローストし、うま味を閉じ込めた鶏肉は、表面の皮はパリパリだが、内側はふんわりとした食感がたまらない。国産米油を使用した自家製のベトナム万能辛味調味料「サーテー」の赤唐辛子の辛みとコクで、箸が進むこと間違いなしだ。
サイドメニューに迷ったら「宮古島産無農薬美らタイ青パパイヤと海老のサラダ」(1,309円)をオーダーしよう。シャキシャキとした沖縄県宮古島産の「美らタイパパイヤ」と、ぷりっとしたゆでエビの食感の対比が楽しめる逸品だ。ライム果汁と「自家製甘辛チリソース」が素材の味わいを引き上げてくれる。
今後、店内の料理に利用している自家製のマムトムやサーテー、米麺とスープをセットにした商品を、店頭とオンラインの両方で販売予定。帰りがけに購入して、自宅でレストランの味を再現しよう。
「日本では、多様性豊かな歴史や文化的背景が反映されたベトナム料理が十分に認知されているとは言い難い状況です。私たちはベトナム料理と密接に関わりのあったフランス、中国、インドシナの歴史と未来に思いを巡らせながらメニューを考案しています。新しい視点で、ここでしか食べられないベトナム料理をこれからも昇華させていきたいですね」と、白井は語る。
常に進化を続けるひとひねりしたベトナム料理を体験してみたい人は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。
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