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2021年12月3日、飲食店が軒を連ねる北千住にネオ居酒屋ジャンソーアタルがひっそりと開店した。運営は、入谷の居酒屋である暮ラシノ呑処オオイリヤや、北千住の立ち飲み、タチアタルなどを手がけるトーヤーマン。同店はタチアタルの姉妹店という位置付けだ。
同店は2階にあるにもかかわらず、1階に飲食店らしい看板が一切ない。ともすると通り過ぎてしまいそう隠れ家的な居酒屋だ。雀荘(じゃんそう)をリノベーションし、店の外にはあえて雀荘当時の古びた看板「麻雀 登美」を残している。その看板を頼りに細い階段を上ると、店の入り口にたどり着く。

扉を明けると空気は一変。どこかノスタルジックな空気が漂いつつも、モダンなアイランドキッチンやバーカウンターが並び、ネオンが彩る新旧入り混じった空間が広がっている。まるで秘密基地のような不思議な居酒屋だ。
オーナーの當山鯉一(とうやま・りいち)は「あえて見つけにくくすることで気持ちをあおり、入った時のギャップを楽しんでもらう仕掛けにした」と話す。

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店に入ってまず目にするのが、圧倒的な存在感のネオン看板だ。「雀」「荘」「當(あたる)」の文字が、まるで麻雀牌(マージャンパイ)のようなデザインであしらわれている。

奥に配置された麻雀卓を模したガラステーブルは特注で、この上で食事できるのは「ならでは」の体験だろう。

臨場感あふれる手さばきを目の前で観賞したいなら、カウンター席がおすすめ。食欲をそそる音や香りを感じながら、料理を心待ちにしてほしい。

ドリンクはオリジナルのサワー、週替わりで提供する自然派ワイン、焼酎、果実酒、ウイスキーなど、多彩なラインアップ。特に、バーのカクテルをサワーに落とし込んだ変わり種サワーはぜひ味わってほしい。
バイスとミントのリキュールを炭酸で割った『バイスミントサワー』(600円)やジンとブルーキュラソー、レモン、トニックを合わせた『青のレモンサワー』(630円)、6種のスパイスと伊良コーラをサワーで割った『金子コーラ酎』(650円)などユニークなメニューばかり。オリジナルグラスに描かれた愛嬌(あいきょう)のあるイラストも目を引く。

ここを訪れたら必ず食べておきたいのが、名物の焼きビーフンだ。『ニラビーフン』『五目あんかけビーフン』『黒酢卵ビーフン』『焼豚ビーフン』(各750円)の4種類がある。
『ニラビーフン』で使っているジェノベーゼ風のソースは、たまりしょうゆのうまみとクルミの香ばしさがニラの甘みと絶妙にマッチし、癖になる。自家製にんにくじょうゆをかけて食べるとさらに風味が出るので、ぜひ試してみてほしい。

人気メニューの『牛ウニ焼売』(680円)も外せない。同店こだわりのシューマイの皮は、肉厚で食べ応えたっぷり。口に含んだ途端、ジューシーな牛肉と濃厚なウ二が絡み合い、幸福な気分に浸れること間違いなしだ。

店自慢の『スパイスラム焼き』(800円)も押さえておきたい。オーストラリアから仕入れたラムにスパイス塩、コショウ、クミンで味付けしたシンプルな料理だが、クミンのスパイシーな香りが絶妙なアクセントになっており、どんどん箸が進むだろう。ヨーグルトとサルサソースで「味変」も満喫できる。

昔ながらの名酒場も多い北千住に、斬新な内装やひとひねりした個性派メニューで新しい風を吹き込むジャンソーアタル。いつもとは異なる秘密の時間を過ごしに、「温故知新な雀荘×ネオ居酒屋」に入り浸ってみては。
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