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世界の各都市では経済活動再開の準備が進められている。しかしパンデミックの終息は、世界で最も有名なレストランのいくつかを救えるほどすぐには来ないかもしれない。オープンから300周年を迎えたわずか2カ月後、閉店の危機に直面しているイタリア最古のカフェもその一例だ。
ベネチアにあるカフェ・フローリアンの代表取締役であるマルコ・パオリーニは、アーキテクチュラル・ダイジェスト誌に対し、パンデミックや観光産業の低迷により、同店が閉鎖の危機に瀕していることを伝え、「私たちはビジネスを存続させるために可能な限りのことをしている」と述べている。
カフェ・フローリアンは1720年、サンマルコ広場にオープン。それ以来、地元の人々や観光客にコーヒーを提供してきた。このランドマーク的な場所は、広々とした屋外パティオと、18世紀を彷彿(ほうふつ)とさせる赤いベルベットの席や金色の鏡が飾られた内装で知られている。しかし、イタリアで最も古いこのカフェも、2020年に危機には備えることはできなかった。売り上げは80%減少、政府支援もないのだ。
同カフェはまだ閉鎖に踏み切ったわけではないが、当分の間、店内での営業再開目処は立たない。パオリーニによると、株主からの資金援助と銀行からの信用枠で、今のところは持ちこたえているものの、将来は暗いとし、次にように付け加えた。「今のところ展望はなく、再オープンの日取りさえ分からない。私たちは将来のことを心配している。もしカフェが閉店してしまったら、コーヒーだけではなく、ベネチアの一部が失われることになる」
しかし、楽観視できる理由もないわけではない。今、カフェ・フローリアンに起きているような状況に直面した、ポルトのカフェ・マジェスティックやベネチアのハリーズ・バーは、後日危機を乗り越えて営業を再開することができている。カフェ・フローリアンもそうなることを祈るばかりだ。
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