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パンデミックが解消されない状況下で、40人ものキャストを投じた舞台を実現するのは簡単な話ではないだろう。しかも、それが宮崎駿による有名な『千と千尋の神隠し』の初めての舞台化というならばなおさらで、そのプレッシャーは並大抵ではなかったはずだ。
しかし、多くのパフォーマーやクリエーター、製作陣の固い決意のもと、待望の舞台が2022年3月2日、帝国劇場でこけら落としを迎えた。
どのジブリ作品であっても、原作に適うであろう舞台というのは想像しがたいもの。しかし、開幕直後にリリースされた舞台ビジュアルは、良い意味で予想を裏切るものだった。
千尋役を演じるのは、橋本環奈と上白石萌音。千尋が迷い込んだ異世界に住まう住人や生き物を再創造するために、多くの場面でトビー・オリエがデザインしたパペットが使われるのも特徴だ。
オリエは、イングランドのロイヤル・セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマでパペット劇を学んだ斯界(しかい)の第一人者。2007年にロンドン国立劇場で初演された『戦火の馬』や現在イングランドでツアー中の『動物農場』など、多くの舞台でその名前がクレジットに挙がっている。
演出を担当したのは、ジョン・ケアード。ケアードは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー名誉アソシエイトディレクターにして『レ・ミゼラブル』などの作品で知られている。スタジオジブリが今回の舞台化に踏み切ったのは、ケアードの参加によるところが大きかった。
今回の演出でケアードは、「複数のタイムゾーンにまたがる外国同士での打ち合わせや、この舞台のために日夜働く海外のスタッフとのZoomのセッティングなどの困難がつきまとった」とTwitterで打ち明けた。その一方で、これまで経験した中でも最も困難で忍耐を強いられたリハーサルの過程で、キャストたちがサポートを惜しまず、いかに積極性であったかをも強調している。
『千と千尋の神隠し』は3月29日(火)まで帝国劇場で上演後、国内を巡業予定。チケットはこちらから購入できる。
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