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建物の外壁などに描くグラフィティアートについては、賛否両論あるのではないだろうか。近年はだいぶ寛容になってはきたものの、まだまだ日本では広く受け入れられているとはいえない。だからこそ、大阪市淀川区を壁画を通して活性化させようというプロジェクト、『淀壁』に目を向けてほしい。これまでのグラフィティアートと違うのは、建物の所有者や行政などの認可を受けて作品を制作している点だろう。
プロジェクトは、発起人でライブペインティングデュオDOPPELのメンバーでもあるBAKIBAKIが、フローレンス・ナイチンゲールをモチーフにした巨大な作品を、区役所に隣接するビルの壁面に描いたことに始まる。この壁画は、新型コロナウイルス感染症流行下で医療従事者に感謝を伝えるために『淀川アートウォールプロジェクト』として制作され、行政や企業からの協力も得て完成した。
これをきっかけに、淀川エリアに継続的に壁画を増やしていくための資金にするべく、2021年7月には『淀壁』のクラウドファンディングが立ち上げられた。2021年末には、DOPPELのほかにも、新たにカツマタヒデユキ、NAZE、borutanext5、LANPの4人が参加している。
2025年の大阪万博までに十三とその周辺、約30の場所に作品を制作していくことを目指している。朝日新聞のインタビューに答えたBAKIBAKIは、今回のプロジェクトはブルックリン(ニューヨーク)の気風に触発されたものので、同じようにアートを通して十三をより魅力的な街にしていきたいと語った。
以下では、そんなプロジェクトの作品の一部を紹介する。作品がある住所を付記しておくので、街巡りの参考にしてほしい。
DOPPELによるこの岡本太郎の作品は、わずか2週間で制作されたという。4階建てビルの壁面がキャンバスで、高さ13メートルにもなるので、電車に乗っていても遠くから一目で分かるはずだ(大阪市淀川区西中島2-4-2)。
BAKIBAKIによる、このナイチンゲールの作品から全てが始まった(淀川区十三東2-2-3)。
ナイチンゲールの作品の角を曲がったところには、Borutanext5の作品。整骨院の壁に、Borutanext5によるキャラクター、おもちエイリアンが医院で施術する様子を描き出している(淀川区十三東2-1-10)。隣にあるLanpの作品は、ブロック塀に描いたとは思えないほどグラデーションが美しい。
NAZEによる吹き出し付きの漫画のような壁画は、ナイチンゲールの作品からバスで30分ほどの場所にある(淀川区木川西4-1-16)。
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