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たくさんのビルが並ぶニューヨークのマンハッタンの風景を見ると、もう新たな高層ビルが入る余地がないと見えるかもしれない。でも、そんなことはないようだ。近い将来、ミッドタウン地区のパークアベニュー沿い周囲の建造物を凌ぐ巨大なビルが誕生するという。
2024年4月中旬、ニューヨーク市長のエリック・アダムスが、「一世一代」規模となるこの超高層オフィスビルプロジェクトの完成予想図を発表した。パークアベニューの350番地に建設されるこのビルは、62階建てで、総面積が約16万7225平方メートル。2032年までに完成する予定で、市長によると、同市に6000人以上の雇用をもたらし、パンデミック後の経済回復に大きく貢献する見込みだという。
設計を担当したのは、建築事務所のノーマン・フォスター率いる、Foster + Partners。床から天井までのガラス窓と景観の良いテラスを備え、空に向かって上る階段を思わせるデザインが特徴的だ。現在のミッドタウンのオフィス街でよく見られるものとは全く異なる外観といえるだろう。
このビルのメインテナントは、それぞれ2100人以上の従業員を抱えるヘッジファンドのシタデル社とシタデル・セキュリティーズ社。また、地上階には一般市民も利用できる座席、緑地のある広大な公共スペースが作られ、アート展示なども行われる。
開発に当たり、デベロッパーがビルの建設地に隣接するセント・パトリック大聖堂と聖バルトロマイ教会から余剰権利を購入し、歴史的建造物に1億5,000万ドル(約232億円)をもたらした。第1副市長のシーナ・ライトは、このプロジェクトを「民間セクターが協力してコミュニティーに投資する」例として位置づけている。
このプロジェクト全体を見渡してみると、かなり思い切ったものに感じられる。というのも、パンデミック以降、労働者を以前のようにマンハッタンのオフィスビルに戻すことが難しい状態が続いているからだ。CBSニュースによると、現在、何千人もの人々がリモートワークやハイブリッドモデルを選んでいるため、ニューヨークではエンパイアステートビル35棟分に相当する9500万平方フィート(約882万平方メートル)以上のオフィススペースが未入居のままになっているという。
市長はこのプロジェクトを住民、労働者、観光客にとってより魅力的な場所として五番街周辺を活性化させる努力の一環としていて、朝食会で次のように語っている。
「今日、経済を活性化させてニューヨークの象徴的な風景を拡大するこのプロジェクトで、『新しい』ニューヨークを作っていく取り組みを倍増させます。このビルは、マンハッタンのミッドタウンを世界で最も重要なビジネス拠点として、また労働者階級のニューヨーカーのための経済エンジンとして活性化させる、私たちの継続的な努力の上に築かれるものなのです」
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