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ブロードウェイシーズンの最終週は信じられないほど忙しいものだが、今年はいつもよりバタバタしそうだ。「イリノイズ」のプロデューサーが同作を、シーズン終了のギリギリのタイミングとなる2024年4月24日(水)の午後に「セント・ジェームズ・シアター」で上演開始することを発表したのだ。
この作品は、シンガーソングライターのスフィアン・スティーヴンスが2005年に発表したムーディーなコンセプトアルバム「Illinois」の楽曲を中心に構成されたダンスミュージカル。トワイラ・サープが2002年に手がけたビリー・ジョエルのダンスミュージカル「ムーヴィング・アウト」と、ほぼ同じ手法で作られているといえる。
演出・振付はニューヨーク・シティ・バレエ団の常任振付家であるジャスティン・ペック。彼は2018年のブロードウェイリバイバル版「回転木馬」や、2021年にリメイクされた映画「ウエスト・サイド・ストーリー」の振付も担当している。
ペックが劇作家ジャッキー・サブブリーズ・ドーリーとともに考案した物語は、ハートブレイクとコミュニティーがテーマ。それを3人のボーカリストと11人編成のバンド、16人のダンサーで表現する。キャストはリッキー・ウベダ、ベン・クック、ギャビー・ディアス、アーマッド・シモンズ、そして「An American in Paris」のスター、ロビー・フェアチャイルドなどで、ボーカリストはまだ決定していない。
「イリノイズ」がこれほど急いで公演を実現しようと躍起になっているのは、今年のトニー賞の受賞資格を得るための最終開幕日が25日(木)だから。ただ、セント・ジェームズ・シアターは7日(日)まで「SPAMALOT」のリバイバル公演で埋まっている。そのため、極めて異例なことだがプレビューは一切なく、「イリノイズ」は劇場で「慣れる」前に初演で開幕となるのだ。
この4月後半のブロードウェイは、どれほど「混雑」しているのだろうか。17日(水)から25日(木)までの間に、「イリノイズ」のほかに12作品が上演されるが、それを踏まえて見てみよう。
2023〜24年の1年間でトニー賞候補となるブロードウェイ作品は36作品。つまり、なんとその3分の1がこの最後の9日間に開幕するのだ。さらに、ミュージカル作品賞のわずか5枠しかないノミネーションを争うオリジナルミュージカルは15作品(過去数十年で最多で、6つのリバイバル作品は除く数)となる。
だから、あなたの良き友人である演劇評論家のために、優しい心遣いを惜しまないでほしい。我々もこの忙しい時期に備え、身を引き締めている。「イリノイズ」のチケットはこのページで購入できる。
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