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森本正治は今日に至るまで、自身の原点となった故郷・広島の寿司屋の思い出を忘れていない。月に一度、父親が家族を連れて行ってくれた店だ。当時の生活は決して恵まれたものではなく、両親がよく口論することもあったが、その店でのひとときは平和だったという。
そこで幼い森本の心を奪ったのは、カウンターの向こう側に立つ職人たち。彼らの正確さと技術の粋に、森本はただただ魅了された。野球選手を目指す夢に加え、「寿司職人」への憧れも彼の心に刻まれることとなった。
その後、森本が自らの志を確実に実現してきたことは明らかである。
「料理の鉄人」や「アイアン・シェフ・アメリカ」への出演、「ジェームズ・ビアード賞」へのノミネート、さらには料理本の著者としての経歴を持つ彼は、世界的に知られるシェフの一人であり、日本料理の「パイオニア」といえる。
2025年に70歳を迎えるが、森本の勢いは衰えることを知らない。現在、世界各地で23のレストランを手がけている彼が、ニューヨークのブルックリンを舞台に新たな挑戦に挑むこととなった。
2024年12月17日、森本は自身初となるハンドロール(手巻き寿司)専門店を「タイムアウトマーケットニューヨーク」にオープンしたのだ。
「Mori Mori」と名付けられたこの店では、伝統的な手巻き寿司に加え、森本の豊富なキャリアから着想を得た独創的なメニューも提供する。
森本はこの新たなコンセプトの店を披露するに当たり、次のように語っている。
「ブルックリンのタイムアウトマーケットに『Mori Mori』を紹介できることに非常にワクワクしています。この新しい店舗では、新鮮で高品質な食材を使用し、日本料理と文化の本質を楽しく親しみやすい形でお届けします。お客さまに私たちの力強い味わいを存分に堪能していただきたいです」
注文はもちろんテーブルからも可能だが、一番人気のスポットはやはりカウンター席だろう。そこでシェフの手から直接手巻き寿司が渡される。
始めの一品としては、シェアできる枝豆や海藻サラダをオーダーするのがよいだろう。ここでは、森本の味噌汁への愛も見逃せない。カウンターには味噌汁専用のマシンが設置されており、ボタンを一押しするだけで、豆腐とネギが入った熱々の味噌汁がすぐに提供される。
メニューには、3種類または4種類の手巻き寿司から成るセットが3タイプあり、空腹の度合いに合わせて選ぶことができる。セットに含まれる手巻き寿司は「シグネチャー」がスパイシーツナ、あぶりスパイシーサーモン、スパイシーブリ。「プレミアムセット」はトロ、ロブスターのあぶり、ホタテ、そしてエビの天ぷらだ。
しかし、それだけで満足してしまうのはもったいない。アラカルトメニューの手巻き寿司も魅力的である。「ブルックリンブリッジ・チーズステーキ」は、細切り牛肉、チーズ、ネギ、ハラペーニョを使った一品で、フィラデルフィアにあった森本の初めてのレストランと、彼の「ホーム」であるニューヨークへのオマージュとなっている。
ニューヨークの象徴的な料理の一つをアレンジした「ブルックリン・チーズドッグ」にはレリッシュ、オニオン、チーズ、そしてもちろんホットドッグが巻かれている。ニューヨークらしさを感じたいのであれば、ぜひ食べるべきメニューだろう。
Mori Moriの詳細は、タイムアウトマーケットニューヨークの公式ウェブサイトで確認できる。
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