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海外への長いフライトのために空港へ向かう直前、最も重要なパスポートだけは忘れてはならないと、何度もバッグを確認してしまう……。これは、多くの旅行者が経験していることだろう。
フライトのチェックインカウンターや到着地のイミグレーション前で、パスポートを手にして列に並ぶことは、海外旅行時の当たり前の風景だが、それが少しずつ変わりつつある。2024年の今、私たちが通過するチェックポイントやそこでのプロセスが、ますますハイテク化しているのだ。
特にヨーロッパでは、ユーロスターが指紋スキャンを導入。いくつかの空港で、パスポートが完全に不要になる搭乗プロセスが試行されている。
その中で、欧州委員会が2024年10月8日、旅行時における各種確認のスムーズ化をさらに大きな規模で実現することを目指して、シェンゲン圏(2023年の圏境通過は6億件)の出入域者向けに、パスポートや身分証明書をデジタル化する提案を発表した。
提案の具体的な内容は、デジタル旅行証明書(パスポート画像やチップに記録されている情報をオンラインで管理する仕組み)を活用するための枠組みの構築と、これらの情報を保存する「EUデジタルトラベル」アプリの導入となっている。
目的は、偽造が困難になることによるセキュリティー向上と、出入域管理の効率化。デジタル化された旅行書類があれば、管理当局も旅行者も大いに助かるということだろう。
この提案では、パスポートのデジタル化は任意で無料。希望しない場合はそのままフィジカルなパスポートを使うこともできる。
まさに未来的な話ではないだろうか。この提案を実現に必要なシステムとアプリの開発には、欧州理事会と欧州議会の承認が必要となる。今後の展開に注目したい。
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