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世界の手本になるかもしれない、東京のクールダウン対策

日本の首都のヒートアイランド現象緩和のための試みとは

Huw Oliver
テキスト:
Huw Oliver
UK Editor
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今年の夏も世界各地で大雨や洪水の被害が出たが、気候に関する災害といえば、特に大都市における熱波の襲来が目立っていたように思える。今の時代、我々の大半が住んでいるのは、熱を吸収する巨大な鋼鉄とコンクリートの島。つまりほかの場所よりも、気温が数度高くなるのは不思議ではない。

世界の各都市からは、地球の温室効果ガスの4分の3が排出されている。さらに世界のエネルギー供給の3分の2も消費しているのも都市部だ。こうした事実を加味すると、都市に暮らす人々は、地球を「クールダウン」するための模範を示す責任があるといえる。

その方法を示してくれている都市の一つに、東京がある。『東京2020オリンピック・パラリンピック』を前に、都は熱波対策を次々と導入した。いずれもほかの都市がヒートアイランド現象を緩和するのに役立つ可能性があるものだ。

対策の一つは、舗装道路や新しい建物の遮熱性を高めること都によると、舗装方法や塗料を太陽の熱を遮るのに適したものに変えると、地表の熱は8度下げることができる。

また多くの屋内施設において、エネルギーを多く消費する従来の空調も見直された。都が代わりに導入を推進したのは、​​新しいタイプの高効率な換気や空調設備。部屋を冷やすのに必要なエネルギーを、通常のエアコンに比べて40%も削減できるという。

国立競技場も、熱波対策の一つに数えてもいいだろう。同競技場は、鋼鉄などよりも熱吸収が少なく、建設中の炭素排出も抑えられる、木材や天然資源を通常より多く使って建設された。

こうした取り組みを都市全体で行っているのは、東京だけではない。シカゴは不動産デベロッパーに屋根を植物で覆うよう奨励。550万平方フィート(51万1000平方メートル)以上の新しい庭園が500を超える数まで増え、屋根の温度の下げ幅を3度から4度にするのに役立ってる。

シンガポールでは金融街の空気を冷やすため、建物に冷水を供給。ロンドンでは広大な低排出ガスゾーンに関してはほかの都市をリードし、空気汚染につながる車両の移動を抑制している。自動車の台数が少なければ、気温上昇は抑えられるというわけだ。

まだやらなければならない仕事は山ほどあるとは思う。しかしこうした取り組みで地球温暖化が抑えられれば、東京でも満員電車で必要以上に汗をかき、息を切らして通勤する日々も少なくなるかもしれない。

原文はこちら

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