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2022年12月29日の朝、新たな歴史が刻まれた。この日、ニューヨークで初めて、娯楽用大麻を合法的に販売するディスペンサリー「Housing Works Cannabis Co」(非営利団体のHousing Worksが運営)がオープンし、最初の販売が行われたのだ。女性議員のカルリナ・リベラによる同店での「買い物」は、芽生えつつある産業のまさに始まりであり、大麻を合法化するための数十年にわたる闘いのマイルストーンとなった。
ブロードウェイの750番地に位置するあるこのディスペンサリーは、2022年11月にニューヨーク州で最初に、娯楽用大麻の販売を認めるConditional Adult-Use Retail Dispensary(CUARD)ライセンスを取得した事業者の一つ。ニューヨーク州では、Housing Worksのような8つの非営利団体を含む、36の事業者や団体へ最初のライセンス発行を行った。
Housing Works Cannabis Coでは、(大麻を意味するスラングにちなんだ)「午後4時20分」のオープンに先立ち、開店当日の朝、大勢の支持者やメディア、政治家、支援者を迎え、オープンを祝うイベントを開催。タイムアウトニューヨークのチームも、現場で州内初の大麻の合法的な売買の瞬間に立ち会った。
大麻監視委員会の委員長であるトレメイン・ライトは、「ここに至るまで長い道のりでした」と語り、次のように続けた。「2022年の第4四半期に開店という目標を達成できるとは思っていなかった人たちもたくさんいました。今、私はハレルヤ、私たちは一緒にここにいる、と言うことができます。Housing Workは一緒にスタートを切るには素晴らしいパートナーです。プログラムをスタートさせただけでなく、公平という目標も達成できたことを誇りに思います。私たちは、ニューヨーク州における大麻と再投資を同時に実現させることに、心から取り組んでいるのです」
ニューヨーク州初の合法大麻ディスペンサリーであるこの店に期待するのは、次のことが上げられる。
1. 驚くほどアクセスしやすい
店はグリニッジビレッジの地下鉄Eighth Street駅の向かい(住所:750 Broadway または1 Astor Place)にあり、Astor Place駅からも近い。4400平方フィート(409平方メートル)の店舗空間には、元々Gapが入っていた。人通りが多い場所への出店が、一つの特徴といえるだろう。店内にはスロープも設置されている。21歳以上であれば、ふらっと訪れてここで大麻を購入することができるのだ。
2. BIPOCや女性が経営する企業の製品を販売
Florist Farms、Back Home Cannabis Company、Aryloom、Lobo Cannagarなど、BIPOCや女性が経営する中小企業に焦点を当て(ここには「独占」はない)、これらのブランドのベイプ、大麻入り食品、大麻の花、プレロールなどを扱っている。ほかには、大麻文化やHousing Workのミッションなどに関するアパレルや文献も販売。商品ラインアップはこのウェブページで確認できる。
3. 収益は地域に還元される
この店では、発生した収益をHousing Workがサービスをしているコミュニティーに還元するという。
Housing Workは1990年以来、HIVやエイズとともに生きている・影響を受けている人々の擁護者となり、人命のためのサービスなどを提供してきた団体。その活動の基盤となってきたのが、ソーホーに10もあるスリフトショップやブックカフェなど、起業家精神あふれるビジネスだった。今回のディスペンサリーは、ハウジングワークスの店舗としてはニューヨークで12番目。同社は今後も多くのディスペンサリー出店を計画している。
Housing Workの最高経営責任者(CEO)であるチャールズ・キングは、店のオープニングセレモニーで「私たちは『麻薬戦争』の惨状を目の当たりにしてきました。その影響を受けたのは、最も疎外されてきた、特に低所得者です。麻薬の所持や販売で投獄された人々が、黒人やラテンアメリカ人であることは決して偶然ではありません。私たちは、この店から得られる収益を、そうした投獄された人々や薬物戦争によって影響を受けた人たちの状況を改善するために使用するつもりです」と語った。
さらにマンハッタン区長であるマーク・レヴィーンは「ここで得られた収益は、かつて投獄されHIVやエイズとともに生きていたホームレスのニューヨーカーのための支援活動にも使われます。このことはまさに『公平』であり、この第1号店はそれを象徴しています」と付け加えた。
4. 未来の活動のための大きなスペースがある
Housing Worksのリテールマネジャーであるサシャ・ヌジェントは、Housing Works Cannabis Coでは地下のスペースで教育プログラムを行う予定で、いずれ店内で大麻製品を消費するためのライセンスを取得したら、「スモーク&ペイント」のようなアクティビティを行う予定だと教えてくれた。
「私たちは本当に、起業家のようにビジネスを行っているのです。私たちは疎外されている人々を大麻産業に引き入れて多くのことを教え、将来的に自分たちのディスペンサリーを開きたいと思うぐらいに興味を開花してほしいと考えています」
5. 全ての製品がテスト済み
店舗には目立つように、ここが検査済みの製品を扱う合法的なディスペンサリーであること意味するマークが表示されている。店の入り口には「QRコード」があり、合法であることが確認できる。また、店内には商品ごとにもQRコードがあり、スキャンすると分析証明書(COA)、テスト結果、商品の産地などの情報を得ることができる。
レヴィーンは「ここで購入すれば、その製品が規制されていること、安全であること、有色人種のニューヨーカーや社会から疎外されたコミュニティーが主導しているブランドであることなどが分かります。この店では、労働組合に加盟している従業員が良い仕事、良い給料、良い福利厚生を受けながら、サービス提供に関わっています。これは、私たちのコミュニティーと街を力づけます。私たちは歴史を作っているのです」と説明してくれた。
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