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日本が誇るカルチャーに別の角度から光を与える、新感覚イマーシブエンターテインメント「HOKUSAI : ANOTHER STORY in TOKYO」が「東急プラザ渋谷」3階で開催。会期は2025年2月1日(土)~6月1日(日)まで。
浮世絵師・葛飾北斎をフューチャーした同展では、「映像×サウンド×触覚」で北斎の世界を全身で感じる、いまだかつてない圧倒的な没入体験ができる。
リアルに触感する体験
本展では、「山梨県立博物館」が所蔵する北斎の代表作シリーズ『冨嶽三十六景』を、文化財のデジタル化を手がけるアルステクネ社の最新の特許技術、DTIP(高精細疑似立体画像処理技術)を用いて制作。美術館のガラス越しでは見えないような、和紙の繊維の一本一本や掘られた線までもを確認できる。
さらに、SONYの高度な触覚提示技術・ハプティクスが組み込まれ、足元が振動し、風が発生するといった映像と連動する演出が施されている。奥行き感のある音に包まれながら、リアルに触感する体験ができるのだ。
非言語で伝える北斎の魅力
誰もが写真では見たことがあるであろう北斎作品だが、本物の作品を見たことや、北斎自体について知る人は少ないかもしれない。プロローグでは、90歳まで制作し続けた生涯で、クロード・ドビュッシー(Claude Debussy)やフィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)にまで影響を与えた作品について、トリビアと年表も含めたパネル展示で紹介している。
絵の中に入り込んだように、北斎の作品風景に踏み入る「大地の間」。歩くと水面の波紋が広がり、水たまりを歩くような感覚と音が返ってくる。風景と同時に床の感覚も変わり、パキパキと氷の上を歩いたり、ザクザクと雪を踏んだりしてみる。空を飛ぶ鶴の影も水面に写り、日本の風景の普遍的な美しさや風情も感じられる。
「風の部屋」では、たこや船の帆など、風を感じる北斎作品をシームレスにつなぎ合わせた世界が広がる。突風が紙を吹き飛ばし、疾走する人馬が間近に接近する。臨場感にあふれ、生き生きとした浮世絵の持つ立体感に驚くだろう。
北斎の想像力を拡張した「北斎の部屋」は、代表的な作品をトリミングしたり、実際の稲妻や大波の映像が現れたりと、大胆に北斎の世界観を再解釈している。まっさらな和紙の表面、懸命に生きる江戸の人々、響く荒波と雷鳴の音、床から伝わる振動……。
そして、最後に現れるのは世界的に有名な『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。迫力満点のエンターテインメントだ。北斎の一瞬を描く驚異の画力と、観察力のすごみも伝わってくる。
レプリカで作品自体の素晴らしさを
作品自体を堪能できる、マスターレプリカの展示エリアに入る。没入体験の後で、元の絵が違った印象に見えるかもしれない。人物の表情や背景の微細さまで観察でき、北斎作品の素晴らしさを今一度味わえるだろう。これらのレプリカは販売もされている。
また、現代アーティストとコラボレーションした作品も並ぶ。現在は、スマートフォンを片手に作品を制作し、国内外で高い注目を浴びている覆面現代アーティストのCOIN PARKING DELIVERY。4月からは、ディジュリドゥ奏者であり画家のGOMAの展示が予定されている。このエリアは、本展のチケットなしでも鑑賞できる。
日本文化の粋を感じるショップ
ショップでは、日本古来の蒸留技術を使ったクラフトジンメーカー「深川蒸留所」や服飾ブランド「WACKO MARIA」などとタイアップした、日本のクラフトマンシップを感じるオリジナルグッズが並ぶ。粋でありながらもスタイリッシュな商品は、思わず手に取ってしまう。
北斎の本質はぶれずに、新しく大胆にエンターテインメントとして見せる本展。言葉で理解しなくとも体験できる楽しさに満ち、今後世界中の人々を魅力するだろう。身も感性も全て委ねて、没入してほしい。
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