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「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、「障害」という言葉のイメージ変容に挑戦するクリエーティブカンパニー「へラルボニー」。2025年3月15日(土)、銀座に都内発の常設店舗「へラルボニー ラボラトリー ギンザ(HERALBONY LABORATORY GINZA)」が誕生した。
1階はストアとギャラリー、上階が会議スペースとオフィスという、ショップ、ギャラリー、オフィスが一体となった同店。老舗の古美術からコンテンポラリーまで、アップデートし続ける街・銀座で、この場を実験室として、異彩を放つ作家とともに社会の価値観の変革を目指す。
福祉を起点に新たな文化を創るクリエーティブカンパニー
2018年に、地元の岩手県で松田崇弥と松田文登の双子の兄弟で創業させたへラルボニー。社名は、先天性の自閉症がある実兄が、7歳の頃に自由帳に記した謎の言葉だという。今回を機に一新させたロゴも、双子の間に兄が存在するデザインだ。

障害があるという時点で、正当な評価や報酬が得られず、支援やチャリティーなどの非営利的な文脈が強調されてしまう福祉アートの世界。それらのイメージを取り払うことを企てる同社は、知的障害のあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。

これまでに、ファッションや小物、ラッピングバス、JALビジネスクラスのアメニティー、スターバックスの内装など、さまざまなジャンルでコラボレーションを実現させてきた。

現在では、約230人ほどの作家と契約。障害があることで収入を諦めていた作家や、その親たちの生き方が変化してきているという。2024年には国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」を初開催し、世界28カ国から応募を受け付けた。また、世界各国の革新的なスタートアップを評価する「LVMHイノベーションアワード2024」の「カテゴリ賞」を、日本企業で初受賞している。
2024年9月には、ヨーロッパを中心に海外作家との契約を進めるため、パリに「ヘラルボニーヨーロッパ」を設立。今や世界中が注目するクリエーティブカンパニーだ。
銀座から誰もが知るブランドへ
ギャラリーとストアが常設するへラルボニー ラボラトリー ギンザでは、世界中から観光客が集まる銀座の地から、誰もが知るブランドを目指す。これまでインターネットでの販売が中心だったが、実店舗で実際に品が手に取れることで、プロダクトの印象を変えていくという。


アートの再現性にこだわるプロダクトは、作家の意思を尊重し、アートに最大限のリスペクトを込めたものづくりが特徴だ。

日本の伝統技術を用いて、原画の魅力とアートのエネルギーをそのままに、「アートを外に持ち出す」ことを大切にする。シルクのネクタイは、1905年創業の紳士洋品の老舗「銀座田屋」と協働し、「米沢織」で作られている。
プロダクトの元になった原画が観られるギャラリー
ギャラリーでは、プロダクトの元になったアートが鑑賞できる。作家も在廊し、ライブペインティングなどの機会も設けるという。初回の展示では、都内の特別支援学校在学中のmarinaなどが、独自の文字をつづった作品を発表する。


持続的な収益化を実現することで、新たな文化を創出するへラルボニー。世の中がようやく同ブランドに追いついてきたのかもしれない。国際的なプラットフォームとして世界にますます羽ばたいていくことが期待される。
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