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2023年8月3日、用賀に台湾フレンチ風洋菓子専門店「ヘイディーズベイク(Heidi’s Bake)」がオープンした。
オーナーのファン・シーチン(Huang Shih Ching)は、台湾の「ジョエルロブション(Joël Robuchon)」にパティシエとして勤務後、日本へ渡り、二つ星レストラン「エスキス(ESqUISSE)」にオープンから7年間在籍。その後、「神田明神」内にある「明神会館」のシェフとして経験を積んだという華麗なる経歴の持ち主だ。日本での居住生活10年目を迎え、永住権を手にしたことをきっかけに満を持して独立した。
まずは「ミックスベリーアイスフィナンシェサンド」(620円、以下全て税込み)を注文してみよう。看板メニューであるフィナンシェにアイスや自家製のミックスベリーをトッピングしたもので、焼き色が付いたフィナンシェは、深めに焦がした焦がしバターを使用。まるでヘーゼルナッツのような香りと、香ばしくサクサクとした外側に、しっとりじゅわっとした生地のコントラストがやみつきになる。
プレーンを含めて全4種あるフィナンシェのうち、ファンのおすすめは「パイナップルピンクピンクペッパー」(320円)。キルシュに漬けた甘くコクのあるパイナップルをミックスし、アクセントにピンクペッパーをふりかけており、引き締まった大人な味わいが楽しめる。
ドリンクは、台湾紅茶の「蜜香紅茶」(500円)がおすすめだ。マスカットのような果実感のある甘さが特徴的。くせがなくすっきりと飲めるが、深みがあり、香ばしい焼き菓子との相性も良い。
台湾出身であるファンのアイデンティティーが詰まった「レモンと馬告山胡椒の生スコーン」(320円)もぜひ試してほしい。牛乳を使用せず、生クリームのみを使用したスコーンは、しっとりとした舌触り。砂糖を極力減らて米こうじを入れることで、素朴で優しい自然の甘みが引き立つ。1日かけてゆっくり煮詰めた自家製レモンのコンフィと、砕いた馬告(マーガオ)山胡椒が挟まれている。
馬告山胡椒とは、台湾で古くから使用されてきたというレモングラスが香るスパイス。ほっこりと優しいスコーンの味わいの中に、すっきりと後味の爽快なレモンの甘酸っぱさや、コンフィのコロコロとしたレモンピールの食感が楽しめる。
ベイクメニューはいずれもその日の朝に焼かれたものを提供。スコーンはオーダー後に軽くオーブンで焼き上げるので、出来たての状態で味わうことができる。
台湾らしさが際立つ「台湾風エッグタルト」(280円)も外せない。バターを挟んで生地を折り、寝かせるという工程を3日かけて行っているというこだわりのタルト生地は、驚くほどサクサクで香ばしい。クリーム部分は、小麦粉を使ったカスタードクリームと異なり、卵や牛乳のみを使用したトロトロで茶わん蒸しのような口触りで、ほんのりとした甘さが特徴的だ。
どの焼き菓子も安心感のあるおいしさの中に、意外性のあるエッセンスが隠れている。今後は、ピザをはじめとしたフードメニューも開拓していく予定だという。ますます目が離せなくなりそうだ。
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