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東京湾に面した「葛西臨海公園」と園内にある「葛西臨海水族園」は、1989年のオープン以来、多くの人々に愛されている。都内で学生時代を過ごした人なら、遠足で訪れたことがあるかもしれない。開園から35年を迎える2024年、両施設の魅力を伝えるべくアートイベント「海とつながる。アートをめぐる。― Harmony with Nature ―」が、東京都の主催により2024年8月2日から18日(日)まで開催している。
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霧の海に浮かぶ名建築
「海とつながる」をテーマに掲げる葛西臨海水族園では、象徴的なガラスドームがミストに包まれ、海との一体感を感じさせる幻想的な空間を演出。風が穏やかな日に訪れると、ミストが建物にとどまり、高さ約20メートルのガラスドームが東京湾の上に浮かんでいるかのような光景が見られる。
風が吹いていても、ミストは体に触れるとひんやりと心地よく、涼をとることができる。また、子どもたちにとっては最高の遊び道具になるだろう。
さらに、8月11日(日)から14日(水)までは開園時間を3時間延長し、夜間イベント「Night of Wonder ~夜の不思議の水族園~」を開催する。水槽の照明を消して、魚たちと一緒に夜を迎えるという貴重な体験ができるので、ぜひチェックしてほしい。
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自然とアートの融合
葛西臨海公園では「アートをめぐる」をテーマに、有名アーティストたちの作品を展示。展望広場レストハウス「クリスタルビュー」では、蜷川実花 with EiMの作品が会場を鮮やかに彩る。
一つ一つ手作業で作ったという800個のパーツとクリスタルから成る『Garden of Sky(空の庭園)』は、ガラス張りの建物いっぱいに降り注ぐ光を反射してキラキラと輝く。写真家ならではの鋭い時間感覚が、その光のはかなさに現れている。
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「ダイヤと花の大観覧車」がある芝生広場に移動すると、一面にヒマワリ畑が広がっている。この夏らしい空間で展示を行うのが、落合陽一、河瀨直美、平子雄一の3人だ。4万本ものヒマワリが植わっている畑に反応するかのように、三者三様のアプローチで自然というテーマに取り組んだ作品が楽しめる。
葛西臨海公園まで足を延ばしたなら、建築もチェックしておきたい。クリスタルビューと葛西臨海水族園の設計は、「豊田市美術館」や「ギンザシックス(GINZA SIX)」を手がけた谷口吉生によるものだ。
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自然環境と調和し、室内と屋外の境界を曖昧にするデザインが特徴の谷口の建築。透明感が高く、空に溶け込むような点で、両施設にも顕著に現れている。老朽化に伴い、水族園は2028年3月にリニューアルオープンを控えている。しかし、多くの人から愛されてきたガラスドームは保存される予定となっている。
複数の有名アーティストが参加しているため注目度は高いが、展示作品は多くない。そのため、葛西臨海公園の散歩や水族園などほかのイベントと併せて楽しむのをおすすめしたい。
また、日陰となる場所が少ないため、熱中症対策は万全にして訪れよう。体が暑くなったら、クリスタルビューの先にある「葛西渚橋」を渡り、隣接する「葛西海浜公園西なぎさ」でクールダウンするのもよいだろう。指定エリアでなら遊泳もできる。
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