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浅草で人気のチェコ雑貨店が「ハーチェク」と屋号改め蔵前に移転オープン

チェコスロバキア・共産主義時代のノスタルジックな香りを堪能

編集:
Genya Aoki
寄稿::
Nahoko Matsumoto
ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa
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2023年12月20日、東欧好き・雑貨好きには全国的に名の通った浅草の隠れ家的なチェコ雑貨店「チェドックザッカストア」が蔵前に移転。店名を「ハーチェク(hacek)」に改め、リニューアルオープンを果たした。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

新店舗がたたずむのは、蔵前駅から徒歩約7分にある閑静な路地裏。紙類の倉庫として使用されていた古い建物を改装し、2層吹き抜けの開放感あふれる空間に一新した。 同店の始まりは約20年前のこと。チェコの絵本や雑貨に魅せられたオーナーの谷岡剛史が、チェコの知られざる魅力を広く伝えたいと神戸で開業。その後、2009年に拠点を東京に移し、馬喰町と浅草を経て現在に至る。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

なおハーチェクは、発音記号のことで、チェコ語で「釣り針」を意味する。ゲストの心の琴線に触れるような店を目指したいという思いが込められている。

年季の入った扉を抜けると、突如としてメルヘンチックな世界が目に飛び込んでくる。壁や棚にはチェコの食器やガラス製品、アクセサリー、置き物がずらり。誰しもが店内に足を踏み入れれば、外観とのギャップに驚かされることだろう。

同店の特筆すべきは、アイテムのほとんどがチェコスロバキア時代に作られたものであることだ。皿やマグカップは共産主義社会の影響が色濃く、似たようなフォルムが多い上、メーカーや作家名は伏せられている。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

一方で、大胆な色使いの花柄やイラストなど、作り手の創意工夫を感じさせるものも目立つ。 繊細で美しいカップ&ソーサーやボヘミアガラス、アクセサリーも豊富に揃える。店内の商品は全て谷岡自らが現地で仕入れたもの。少なくとも年に2回はチェコに赴き、のみの市やセカンドハンドの店を回り、気に入ったものを購入しているという。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

徐々に現地の友人も増え、そのつながりから独自の買い付けネットワークを構築。既視感がないアイテムが並ぶのは、そのような背景も大きい。

愛らしいぬいぐるみは1970〜80年代のアイテムが中心だ。東ドイツで作られたビンテージベアや、モスクワオリンピックのマスコットキャラクターなど、ほかではまず出合えない品もある。 1957年にアニメとして誕生して以来、老若男女に愛されている国民的キャラクター「もぐらのクルテク」のグッズも幅広い品揃えだ。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa
ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

2階には、チェコの絵本を常時2000冊ほどラインアップする。実はチェコは実はチェコは、ヨゼフ・ラダ(Josef Lada)やイジー・トルンカ(Jiří Trnka)などを輩出した世界屈指の絵本大国。共産主義政権下では表現の規制は強かったが、子ども向けの絵本は比較的緩く、多くの芸術家たちが絵本に情熱を注いだ。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

やがて絵本制作は国策となり、外貨を獲得する貴重な手段となったという。 国が採算度外視で制作していたことも手伝って、当時のチェコの絵本のクオリティーは非常に高い。タイポグラフィーも前衛的で、インテリアとして購入する客も多いという。

ハーチェク
Photo: Keisuke Tanigawa

1階の一部はギャラリースペースとなっており、国内外のアーティストの作品を展示。取材時はポーランドの伝統的織物が紹介されていた。内容は定期的に変わるので、訪れる度に新たな発見に出合うことができる。

デザインだけでなく、チェコの文化的背景も体感できる雑貨店で、ノスタルジックなひとときを過ごしてみては。

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