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京都市を舞台に開催される写真の祭典「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、2023年5月14日(日)まで開催中だ。同写真展は2013年の初開催以来、国内外の著名な写真家の作品を紹介するイベントとして発展してきた。今年は京都市内19カ所の会場で15のプログラムを展開中。歴史的建造物や近現代建築など、京都ならではの雰囲気を感じられる貴重な空間が会場になる。
今年のテーマは「BORDER=境界線」
今年のテーマとして選ばれたのは「BORDER=境界線」。KYOTOGRAPHIEを立ち上げた仲西祐介とルシール・レイボーズは開催に当たり、以下のようなコメントを公式ウェブサイトに発表している。
「あらゆる生命体はさまざまな境界線を持ちながら生きている。境界線はその存在を形作り、その経験を規定する。そして、生命体はそれぞれの境界線を守り・壊し・広げ・狭めながら生きる」
「人類は特出して進歩という本能を備えている。フロンティアを切り拓き、新たな領域へと進出していこうとする本能だ。この進歩的な本能が、人類の領域を押し広げ、急進的に進化させてきた面もあるが、同時に自然界を破壊し、保護もしてきた。2023年、KYOTOGRAPHIEでこの「境界線」を巡る旅に出よう。それは何かを分け隔てようとするものかもしれないし、かりそめの状態かもしれない。はかない刹那かもしれないし、紙一重の微差にすぎないのかもしれない」(原文ママ)
今年の写真祭では、私たちの世界を定義する物理的な境界線と抽象的な境界線の両方に挑戦する。人間が経験する未知の領域へと、私たちを導いてくれるだろう。
写真以外のインスタレーションも展示
今年も国内外からバラエティー豊かな写真家やアーティストたちの作品が京都に集結。どのクリエーターも、独自のバックグラウンドと表現スタイルを持っている。キューバの若手作家マベル・ポブレットは「海、水」をテーマにした作品を展示。自身のアイデンティティーや経験に基づき、キューバ社会と今日の世界について語りかけるような作品を多彩な手法で創作した。
京都の中心部にある「八竹庵」で開催されるのは、松村和彦の写真展「心の糸」。認知症と静かに闘う人々に光を当てるポートレートだ。ウクライナ出身の写真家、ボリス・ミハイロフの「Yesterday's Sandwich」シリーズは、スライドショーで展示される。2枚のカラースライドを重ね合わせることで、不思議な世界観を映し出している。
セザール・デズフリの「Passengers」は、ヨーロッパの国境に押し寄せる難民たちに焦点を当てた現在進行中のプロジェクト。彼らの生い立ちから到着後の生活まで移民の一人一人の人生に迫っている。
今年は、スペインの陶芸家インマ・バレッロをはじめとする写真以外のインスタレーションも展示。バレッロは20年以上にわたり、陶芸や金継ぎなどの手法で割れた陶器を修理する技術を学んできた。金属やガラス、木材を使った大規模な陶芸のインスタレーションは、「伊藤佑町家跡地」に展示される。
KYOTOPHONIEも同時開催
2023年度は姉妹イベントとして音楽フェスティバル「KYOTOPHONIE」を同時開催中だ。フランスの実験的なパーカッショニスト集団TRIO SR9や、カメルーンのソウルシンガー、サンドラ・ンカケのトリオと沖野修也が結成したKYOTO JAZZ SEXTETの共演など、写真祭の精神に基づいたボーダレスな音楽を生演奏で楽しめる。
「二条城」や「両足院」といった史跡から、「誉田屋源兵衛 竹院の間」などのアートギャラリーまで、写真とともに京都の趣深い建造物が楽しめるのも大きな魅力。6,000円(学生3,000円、税込み)
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