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2024年8月末、千代田区神田にハンバーガーパブ「グラバー(THE GRABBER)」がオープンした。オーナーの山本哲也は「ハンバーガー御三家」の一つとして知られる人形町の「ブラザーズ(BROZERS')」で店長を務め、東陽町の人気店「ルイス ハンバーガー レストラン(Louis Hamburger Restauran)」ではマネジャーとして、立ち上げから携わった人物だ。
ハンバーガーの名店で実績を積み、満を辞して独立しオープンさせたグラバーは、大胆なユニオンジャックデザインの入り口からも分かる通り、「ブリティッシュパブ」がコンセプト。オーナーがこよなく愛するパブ文化とハンバーガー専門店をかけ合わせ、ハンバーガーとともに種類豊富なアルコールが楽しめる店である。
客席は1階のカウンター席と2階のテーブル席が用意されており、2階の壁には店名の由来でもあるというベース「Gibson THE GRABBER」が飾られている。天井や壁に至るまで木目調に統一されたノスタルジックな内装は、本場・英国のパブを思わせる。窓際に置かれた、道ゆく人に向かって手を振り続けるエリザベス女王のフィギュアも印象的だ。
肝心のハンバーガーだが、パティはミンチではなく、ステーキ用の牛肉をさばいたものを特殊な方法で成形していることが大きな特徴。つなぎも一切使われておらず、牛肉本来の旨みや噛み応えのある食感がダイレクトに楽しめる。
中でもイチオシは、オレンジのシロップ漬けを挟んだ「オレンジチーズバーガー」(2,035円)。オレンジには、柑橘類の生産量で日本一を誇る愛媛県出身のオーナーが厳選した品種が採用されており、皮ごとガブリと食べられる。オレンジの酸味とほのかな甘みがパティの味わいをより引き立て、クレームエペス(発酵クリーム)とたっぷり挽かれたペッパーがアクセントとなり、バーガーにさらなる満足感を与えている。
ハンバーガーやアルコールに加え、サイドメニューのラインナップも豊富だ。ハンバーガーに負けず劣らず、サラダのボリュームとユニークさもあなどれない。サラダの上に大山鶏の半身が大胆にのせられた「トマホークチキンサラダ」(1,320円)は、それだけで満腹になってしまうほどボリューミーだ。一方で、長時間かけて低温調理された胸肉は驚くほどしっとり柔らかく、後味もサッパリとしているので、不思議とペロリと平らげてしまう。
シェイクにもさまざまなフレーバーが用意されているが、「ポップコーンシェイク」(990円)に「バターキャンディシェイク」(990円)、「レッドグレープフルーツシェイク」(990円)に「チーズロワイヤルシェイク」(990円)と、聞きなれないものばかり。いずれもシェイクの上にたっぷりの生クリームとシロップがトッピングされており、デザート感覚で楽しめる。「ロンドンチーズケーキシェイク」(990円)は、まさにレアチーズケーキをドリンクに変身させたような味で、優しい甘みとほどよい酸味、そしてベリーの風味がたまらない。
どのメニューも一度味わえばそのおいしさとユニークさに魅了され、「次はほかのメニューを」と、すぐにまた足を運びたくなってしまうだろう。まさに心と胃袋をグラバー(わしづかみ)するハンバーガー店だ。
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『グラバー』
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