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東京で「グルメマート」業態の飲食店が拡大中、注目の3軒を紹介

LA発の新トレンド、食材と酒のセレクトショップとカジュアルレストランが一体化

テキスト:
Tomomi Nakamura
Writer
青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawa青山グルメマート
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テレワークの企業が増え、自宅で過ごす時間を重視する人が増加傾向にあるポストコロナ時代。そんな時代の要請を受け、飲食業界にも新たな波が押し寄せている。アメリカきってのグルメシティとして知られるロザンゼルスでは、質の高い生産者の作る食材の物販、酒販、飲食が一体型になった「グルメマート」と呼ばれる新たな業態が拡大しているようだ。

その影響を受け、近年日本でも選りすぐりの調味料や食材、酒をセレクトして販売し、それを店内のイートインスペースで気軽に食すことのできる個性的な店舗が続々とオープンしている。ここでは、東京で注目のグルメマート業態の新鋭店を3つ紹介したい。

日本食品総合研究所
Photo: Midori Yamaokaシェフのセレクトした食材が並ぶ「食品庫」

1. 有名シェフの愛用品が集結したグローサリー

日本食品総合研究所

今、最注目のグルメマートといえば、複合施設「フォレストゲート代官山」に2023年10月オープンした日本食品総合研究所の「食品庫」だ。調味料やシャルキュトリー、ワイン、チーズなどを中心にシェフ愛用の食材を気軽に購入できるグローサリーである。

パティスリーイーズ(Patisserie ease)」の大山恵介や「ティール(Teal)」の眞砂翔平、「チョンプー(CHOMPOO)」の森枝幹など。人気シェフのおすすめ商品を本人の推薦コメントを眺めながら購入できるのは、「ならでは」の魅力だろう。

日本食品総合研究所
Photo: Midori Yamaokaシェフたちが愛用する調味料

2階には小ロットで商品を製造できる「研究所」を設置。異ジャンルのシェフが出会い、交流できる場であり、新商品開発を促す場となっている。「調理室」にはオープンキッチンとソファを備え、展示会やシェフズディナーなどのイベントで活用しやすいモダンな空間を設けた。

日本食品総合研究所
Photo: Midori Yamaoka新商品の企画・開発を行う「研究所」
調理室
Photo: Midori Yamaokaシェフズディナーや展示会の会場となる「調理室」

さらに1階には、ビストロ「ネキ(Neki)」のシェフ・西恭平が監修したカフェ&ワインバー「メリージェーン(Mary Jane)」 を展開。同店では「タテルヨシノ」や「メザニーン」での経歴を持つシェフの林修史が手がける、フレンチベースを中近東風にアレンジしたメニューや世界のワインが堪能できる。目にも華やかなビュッフェが楽しめる「メリージェーンブランチ」(3,300円)のほか、「キャラメルプリン」(600円)をはじめとするデザートなど、「研究所」で開発した料理を味わえるところがポイントだ。

日本食品総合研究所
Photo: Midori Yamaokaビュッフェ形式で楽しめる「メリージェーンブランチ」(3,300円)
日本食品総合研究所
Photo: Midori Yamaoka「メリージェーン」の店内

施設全体にシェフたちが集い、新しい食文化を醸成し続ける同施設は、今後新たなイノベーションを生む、2023年期待のプラットフォームと言えるだろう。

SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshimaシェアハウスに併設した「ショップ」の外観

2. 地域のハブとなるスタイリッシュな次世代コンビニ

ショップ

築62年の木造住宅をスタイリッシュにリノベーションした「ショップ(SHOPPE)」は、「食べる」「飲む」「買う」体験をシェアするコンビニエンスストアだ。建築家のクマタイチが展開するプロジェクト、「シェア バイタイランド(SHARE by TAILAND)」が設計から運営までを手がける店である。

SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshimaこだわりの食材や日用品が揃う
SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshima「テシオ」のソーセージやハム

店内には、自家製ハム・ソーセージ専門店「テシオ(TESIO)」のソーセージや、ブルックリンの「オールユーキャンイートプレス(All-You-Can-Eat Press)」がセレクトした缶詰などをラインアップ。そのほか、花や銭湯グッズなど日常生活を楽しむための日用品も揃う。

SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshimaずらりと並ぶワインやクラフトビール
SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshima800円から味わえるワイン

角打ちのように一息つけるスペースでは、原宿で毎週水曜日だけオープンするカレー屋「水曜カレー」のレシピによるカレーの2種盛り(1,300円、以下全て税込み)などが味わえる。さらに「ジャケ買い」したくなるエチケットのナチュラルワインやビールが豊富に揃い、1杯800円から飲むことができる。

SHOPPE ショップ
Photo: Kisa Toyoshima「ショップ」の店内

同店はオープンから半年ほどだが、近隣住民が多く訪れ、早くも独自のコミュニティーが形成されている。単身の高齢者が数日店に来ないと、「家に様子を見に行こうか」とゲスト同士の会話の話題になることもあるという。

ちょっと寄る、顔を出す、という行為の重要性をこの店を始めたことで痛感しています。気軽に立ち寄れる多世代が集まる店は、今後パブリックスペースになり得るのではないでしょうか」と、クマは言う。新たな地域のハブをぜひ訪れてみてほしい。

青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawaイートインで食べられる「豊洲の貝づくしペスカトーレ」(3,000円)

3. ワインと本格派パスタが店内で味わえる食の宝庫

青山グルメマート

世界中から取り寄せた調味料や缶詰などの食材250種と、日常使いにぴったりのワインが購入できる青山グルメマートは、併設のカウンター席でパスタを味わうこともできるセレクトショップだ。ロサンゼルスで流行したグルメマートの動きにいち早く注目し、食料品物販・酒販・飲食がクロスオーバーする店を2023年9月に開店した。

青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawa選りすぐりの商品が並ぶ店内
青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawaゲストも中に入れるワインセラー

弾ける食感の「ゴールデンマスタード」(1,850円)や、果肉感の強いトマトピューレ「ポルパフィーネ・ディ・ダッテリー二」(600円)など、商品は全てスタッフが実際に試食し、手書きのコメント付きでおすすめのものだけを販売。ウォークインワインセラーには、フランス産を中心に、2,000円から購入できる世界のボトルワインが所狭しと並んでいるので、ぜひ中に入って眺めてみてほしい。

青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawa落ち着いた雰囲気のカウンター席

イートインは洗練されたカウンター席で食事できる。豊洲市場で鮮度の良い魚介を仕入れて作る日替わりのパスタは、福岡の有名イタリアン「ピッツェリア・ダ・ガエターノ」出身のシェフが手がける。

青山グルメマート
Photo: Keisuke Tanigawa「明石産タコとジャガイモの温菜」(1,500円)

おすすめはアサリや沖シジミ、シジミ、ムール貝などを使用した「豊洲の貝づくしペスカトーレ」(3,000円)。貝のうまみが凝縮したソースと、もっちりとしたパスタのハーモニーを楽しもう。明石産タコとジャガイモの温菜」(1,500円)をはじめ、前菜も3種ほどオーダーできるほか、店内で購入したボトルワインを飲食エリアに持ち込めば、定価のままで楽しめるのもうれしい。

食の購入体験の最先端

内食の底上げが図られるようになった今、食材を購入する場での「体験」も大きな変化の時期を迎えているのかもしれない。有名シェフの愛用品を購入できる店や、ナチュラルワインがその場で飲めるコンビニエンスストア、レストランクオリティーのパスタが食べられるグローサリーなど「食品購入プラスアルファ」の新たな楽しみが、毎日の食卓をより豊かなものにしてくれることだろう。

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