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野田サトルによる大ヒット漫画『ゴールデンカムイ』。同作の世界を徹底網羅する展覧会が、2022年4月28日から東京ドームシティのギャラリー アーモ(Gallery AaMo)でスタートした。
『ゴールデンカムイ』は、明治時代末期の北海道を中心に繰り広げられる金塊争奪戦を描いたサバイバル漫画。主人公である元兵士の杉元佐一とアイヌの少女アシリパは、お互いの目的のために協力し、隠された埋蔵金を探す旅に出る。同じく金塊を狙う陸軍第七師団や、箱館戦争を生き残った土方歳三が率いる一派など、多様な勢力の思惑が入り乱れながら、金塊の奪い合いが行われていく。
『第22回 手塚治虫文化賞』の「マンガ大賞」や、『第24回 文化庁メディア芸術祭マンガ部門』のソーシャル・インパクト賞に輝くなど、秀逸なプロットと過激なアクションで国内外から高い評価を得る作品だ。2014年から『週刊ヤングジャンプ』で連載を開始し、同展の開催初日に堂々の完結を迎えた。
同展は、「冒険」「歴史」「文化」「グルメ」「狩猟」といった作中のテーマを全て詰め込んだ、まるで闇鍋のような展覧会。全6ゾーンから構成され、それぞれのコンセプトに基づきながら、イラストや関連資料を展示する。キャラクターの魅力に迫るゾーンや、作中に登場するアイヌをはじめさまざまな文化にフォーカスしたコーナーなど、物語をあらゆる角度から味わい尽くすことができるだろう。
会場に足を踏み入れるとすぐに現れるのが、金塊争奪戦に参戦した主な登場人物を紹介する第1ゾーン「金塊争奪戦の開幕」だ。ここでは、作中に出現した物のモデルになったアイテムやそれに近い資料と一緒に、キャラクターの装備やいでたちを詳細に説明していく。
杉元のトレードマークである軍帽や、アシリパが身に着けている鉢巻きなど、ファンにはたまらない関連資料がそろう。第七師団を指揮する鶴見篤四郎の軍服、狙撃手の尾形百之助が手にした愛銃、鯉登音之進のサーベルに関する資料からは、キャラクターのリアルな鼓動を感じられる。壁に飾られた作者のコメントと一緒に、人物の細かな設定を知るのもいい。
続く第2ゾーン「24人の刺青囚人」には、金塊の場所を示す刺青を入れた24人の囚人が一挙集合。人相手配書を模したグラフィックや名場面から、その面々の強烈な個性に触れてほしい。
第3ゾーンの「命を繋ぐものたち」は、緻密な時代考証で有名な同作の特徴を生かした空間だ。作中に描かれた北海道アイヌを中心とした多様な文化や風習を、イラストと関連資料を通して学べるのが面白い。
ショーケースには、タマサイと呼ばれる首飾りや、小動物の肉を叩く伝統料理のチタタプのサンプルなどが並ぶ。詳細なパネル展示とともに、同作に関わる少数民族や、写真をはじめとした当時のカルチャーについても深掘りしよう。屈指のギャグシーンであるラッコ鍋とロシア式蒸し風呂「バーニャ」の両イラストは必見だ。
物語では、「網走」「樺太」「札幌」を舞台に3つの重要な激闘が行われた。第4ゾーン「それぞれの役目」では、その戦いの模様をさまざまなイラストからたどっていく。
カラフルなグラフィックに覆われた空間を彩るのは、激戦を描いた気迫あふれるイラストの数々。土方の抜刀シーンや、鶴見の狂気がうかがえる瞬間など、同作の魅力の一つといえるキャラクターの生き生きとしたアクションが体感できる展示は圧巻だ。杉元とアシリパの感動の再会を描いたイラストを見れば、思わず胸が熱くなる。
第4ゾーンの対面にあるのは、50点にも及ぶカラーイラストが並ぶ第5ゾーン「黄金色名画廊」。足元から頭上まで、さまざまなサイズのイラストが飾られている。美しい肉体美を披露する谷垣源次郎のイラストをはじめ、同展描き下ろしの作品をチェックしよう。
『ゴールデンカムイ展』は、6月26日(日)まで開催。この機会に、同作の奥深い世界を堪能してみては。
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