[title]
パンデミックによる影響は、世界中のナイトライフやライブエンターテインメントにも深刻な影響を与えている。このほど、コロナ禍におけるナイトタイムエコノミーの新たな戦略と事例を集めたレポート『Global Nighttime Recovery Plan』の日本語翻訳版が、ナイトタイムエコノミー推進協議会(JNEA)の公式ウェブサイトで公開された。
資料では、新型コロナウイルスによるニューヨークやベルリン、パリなど主要都市のロックダウンや自粛要請によるナイトタイムエコノミーの現状と、ポストコロナを視野に入れた注目すべき新たな事例が紹介されている。
そもそも『Global Nighttime Recovery Plan』とは、資料のイントロダクションを引用すると、ナイトタイムエコシステムに関わる全ての人に、安全で有意義な都市の復興計画の作成に向けた知識とツールを提供することを目的とした、世界各国の著者たちによる共同作成のガイドラインとある。
「屋外空間のナイトライフとCOVID-19」「ダンスフロアの未来」「24時間都市へのイノベーション」などをテーマに全7章で構成されており、今回1、2章の日本語版が公表された。
第1章の「屋外空間のナイトライフとCOVID-19」では、「社会活動をする場として屋外空間の需要が急増している」ことを背景に、規範や暗黙のルールの再検討について、「スペースの管理」と「⾳の管理」の二つのテーマを紹介。
例えば、日本ではあまり実践に至っていないオープンエアダイニングの活用における課題解決の実践例としては、「既存の事業者に隣接する舗装道路や駐車場の利用申請をオンライン化し効率改善」したニューヨークの事例などが挙げられている。
屋外イベントの施策の実践例としては、屋外イベントを奨励するために自治体が無料のステージを提供したり、規制されたイベントのライセンス料の免除、閉鎖された空港内での映画上映会など、積極的な施策を行っているリトアニアのビリニュスの事例が興味深い。
第2章の「ダンスフロアの未来」では、危機的状況にある各都市のクラブシーンの厳しい現状と課題、そして「より柔軟で開放的なダンスフロアとイノベーティブなクラブ体験の構築」のための事例や調査報告が示されている。
各都市で現在行われている試みや、より安全なヴェニューとイベント運営のための具体的なガイドラインの紹介のほか、仮想空間を使ったバーチャル体験の事例としては、イタリアの「algo:ritmi」を取り上げた。仮想空間などのオンラインコンテンツについては、「オンライン上のアルゴリズムは、一部の人種・年齢層・性別に偏る可能性がある」などの課題も示されている。
「インクルーシブで公平なダンスフロアを実現するために」と題されたセクションでは、「夜の街」の筆頭としてやり玉に挙げられてしまった新宿の歌舞伎町を舞台に、区長と共同で区内の他のクラブ経営者を説得し、効果的な予防策を講じた実業家の手塚マキの事例や、2020年4月に韓国のイテウォンで発生したクラスター感染についての簡潔なレポートなどが記されている。
なお、『Global Nighttime Recovery Plan』の英語版は第3章まで公開されており、2021年3月に全章を公開する予定だ。日本語版は4月ごろを予定している。
ナイトタイムエコノミー推進協議会(JNEA)の公式ウェブサイトはこちら
関連記事
『クラブなどへの支援を求める「#SaveTheDance」が展開中』