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「銀座 蔦屋書店」に、新たなアートスペース「FOAM CONTEMPORARY(フォーム コンテンポラリー)」が2022年7月3日(日)オープンした。記念すべき1回目の展覧会は、今注目を集めるアーティストの友沢こたおによる「Monochrome」。会期は2022年7月26日(火)までだ。
新たな日本のアートシーンを探求
銀座 蔦屋書店は2017年の設立時から変わらず「アートのある生活」を提案し、さまざまな現代アートを展示している。「現代アート」と一言で表すが、空間によって特色は異なる。イベントスペースである「GINZA ATRIUM」は、書店中央に位置するオープンスペースで、書店を訪れた国内外の人々が自由に気鋭アーティストの展覧会やイベントを楽しめる空間を提供。壁面に飾られた作品と向き合う「アートウォールギャラリー」では、コーヒーを飲みながらアート作品が楽しめる空間で、若手作家を中心に様々なアーティストの作品を紹介し続けている。
そして、ますます時代の流れが著しくなる2020年代に突入した今、開業5周年の節目として、新しいアートスペースを始動。外部の空間とは隔てた独立空間で、キャリアを問わず銀座 蔦屋書店が注目するアーティストがそれぞれの作品世界を表現する空間だ。ライフスタイルや社会が変化する現代の新たな感性や価値観を捉え、多角的に日本のアートシーンを映し出すという思いが込められている。
こけら落としとなる展覧会は、フランス・ボルドー出身で1999年生まれのアーティスト、友沢こたおによる「Monochrome」。東京藝大美術学部在学時から久米桂一郎賞、上野芸友賞を受賞した経験を持ち、国内外問わずさまざまな展覧会やアートフェアに作品を出品する実力の持ち主だ。さらに、モデル、音楽活動を通しても活躍の幅を広げ、注目すべきアーティストとして名が挙げられている。
スライムで覆った自身の肉体を描く
友沢の作品は、柔らかな彼女の印象からは想像し難い、スライム状の物質と有機的なモチーフが絡み合う独特な人物画が特徴だ。「何を描いてもヌメヌメしてしまう」というコンプレックスを持つ彼女。そんな時、偶然友達が家に置いていったスライムと出合い、自身のコンプレックスが良い方向へと反転することで、自分の所在に気付いたという。
自らの肉体をスライムで覆うことで、理性を超えた生物に還る。その時に感じた「ヌメヌメ、ひんやり、息苦しい」などの感覚を絵に投影することで、「形を変えていくスライム」と「変わらない自分」という2つの物質が重なり合った作品を通し、人間の本質を問う。
展覧会では空間に合わせて、友沢が白と黒のコントラストで描いた絵画作品を展示しており、シンプルでありながら、質感や透け感、柔らかさのリアルな表現が楽しめる。今回のようなモノクロの作品のみの展示は、初の試みであると同時に、今後このような展示を開催する予定は未定だそう。友沢は「今だけの空間を五感で感じてください」とコメントした。
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