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2015年に惜しまれつつ閉館した銀座の「旧有賀写真館ビル」が、多摩産材のスギ材を使ったサステナブルな中高層ビルとして生まれ変わった。この「銀座髙木ビル」は、地下1階〜地上1階に飲食店、2階に物販、3〜8階にオフィステナント、9〜10階に飲食店、11〜12階と屋上階にサウナ施設を有する複合型施設だ。
京都でコンセプチュアルな懐石料理店などを運営する「やま岸」グループの代表である山岸隆博が手がける東京初の店舗や、ケータリングも可能な「ナインティワン デリアンドカフェ バイ プラン(91° DELI&CAFE by plein)」、銀座の街並みを一望できるサウナ施設「ナインティワン サウナ(91° SAUNA)」などから成る「サロン ナインティワン(SALON 91°)」を、2023年9月下旬から順次オープンする。
同ビルでなにより注目してほしいは、9〜12階の木造部分。サステナブルな建材として注目されている東京の「多摩産材」の木材をいち早く取り入れ、木箱をビルに乗せたようなユニークな建築様式になっている。
高さは約56メートルで、実は日本の木造ビルとしては最も高いビルディングだ。建築の設計を手がけたのは山路哲生。隈研吾建築都市設計事務所で主任技師などを務めた経歴を持ち、木質化には幾度もチャレンジしてきた経歴を持つ人物である。
脱炭素社会の実現などのため、2021年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が改正。建築物における木材利用が国中で進められている。そうした機運の中で、従来では建てられなかった木造の高層建築が注目されており、先駆的に挑戦したのがこの銀座髙木ビルなのだ。
バルコニーや屋上に当たる「インフィニティーテラス」からは、きらびやかな銀座の街並みを眼下に見下ろせる一方、内装からは良い意味で「銀座らしくない」木の温かみが感じられる。
ちなみに、インフィニティーテラスでは、サウナ施設の外気浴スペースとして活用を検討しているそう。銀座の夜景を見渡しながら「ととのえる」のはほかではできない体験になりそうだ。
株式会社髙木ビル代表取締役社長の髙木秀邦は、同ビルを横に倒すと「建物としてのビルではなく、横に倒せば、商店街のようになったらいいと思っています」と語る。別々の企業が軒を連ねる場所ながらも、人が集い、暮らしを育み、コミュニケーションが生まれる場として機能することを目指すという。
銀座という都心の真ん中で、どこか人と木の温もりが感じられる新たなビルディングから、これからも目が離せない。
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