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芝浦工業大学の豊洲キャンパスに2022年9月21日、銀座で創業50年を越える老舗イタリア料理店「銀座シシリア 豊洲店」がオープンした。設計は2014年にプリツカー賞を受賞した建築家の坂茂(ばん・しげる)だ。世界的建築家の作品を設けることで、建築学部やデザイン工学部の学生の学習意欲を刺激していくことを目的にしている。
同店は、大学創立100周年記念事業の一環として4月に完成した、本部棟1階のピロティにある。学生だけでなく一般客も利用でき、大学と地域をつなぐ憩いの場を目指す。
内装は、坂の代名詞といえる再生紙の紙管を主体に構成。店内に入るとまず目を奪われるのは、美しい曲面を持つ2層の天井だろう。長い紙管が連なる面は波のようにしなやかで、もう一方は蜂の巣状の木枠になっている。六角形の木製フレームに直径の異なる4種の紙管をそれぞれ収めているが、シンプルなルールと複雑性の両立によって、人々の期待感を高めるのが狙いだという。
椅子や間仕切りにも、直線と曲線を交えながら紙管がリズミカルに使用されている。店内中央にある間仕切りとソファはさまざまな配置に組み替えでき、可変性が高い。テーブルやカウンターには「リッチライト」という紙素材が用いられており、空間全体にナチュラルで柔らかな印象を与える。
また、3方向にガラスシャッターが備えられ、店内に自然光がふんだんに取り込まれるように設計。シャッターが開くと内外の空間が連続し、開放感がさらに高まる。テラス席は犬も同伴できるのもうれしい。
キッチンの壁には、銀座シシリアの象徴である赤いギンガムチェックのテーブルクロスがグラフィックパターンとしてデザイン。モダンとクラシックを織り成す、独特の存在感はぜひ自分の目で確かめてほしい。
本店で人気の「ナポリタン」や「グリーンサラダ」も提供
メニューは銀座店で人気のパスタやピザ、グラタン、肉料理などをメインに提供。ランチ(11〜15時)とディナー(17〜21時)でメニューと価格は異なり、ディナータイムにはビールやカクテルなどのアルコール類も楽しめる。
150グラムもの乾麺を使う「ナポリタン」(ランチ750円、以下全て税込み)は、圧巻のボリューム感。もっちりした麺に甘めのケチャップソースとバターの風味がしっかり馴染んでおり、口の中で多彩なうま味が広がる。ベーコン、ピーマン、マッシュルームなどの具がたっぷりで食べ応え抜群だ。
1971年の創業時から続く名物「きゅうりとレタスのグリーンサラダ」(780円、ディナーのみ)は、薄くスライスしたキュウリでレタスをドーム状に覆った一品。唯一無二の盛り付けに驚かされること間違いなしだ。ニンニクの香りが引き立つ自家製ドレッシングがみずみずしい生野菜によく合う。
ディナーでは銀座店伝統の四角いピザや、豊洲市場直送の鮮魚を使ったカルパッチョなどを用意。豊洲という地の利を生かし、今後は魚料理に力を入れていくという。
同店取締役の平光俊裕は「創業50年という節目にお声がけをいただき、とてもうれしかったです。良きターニングポイントと捉え、出店に踏み切りました。将来的には、学生さんたちにも銀座店へ足を運んでもらえるよう、努力していきたいです」と意気込む。
オープンから間もないが、平日は近隣のオフィスで働くビジネスパーソン、土曜日はファミリー層でにぎわっているという。世界的建築家が手がけた空間に身を置きながら、昔懐かしいナポリタンに舌鼓を打つ。そんな、つかの間の学生気分を楽しんでみるのも悪くないだろう。
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