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2024年1月20日(土)〜3月10日(日)、「ホテル雅叙園東京」で、4年ぶりとなる都内最大級のひなまつり展「千年雛めぐり~平安から現代へ受け継ぐ想い~百段雛まつり2024」が開催される。舞台は、同ホテルに唯一現在する木造建築で、東京都指定有形文化財「百段階段」だ。1935年に建てられ、晴れやかな宴が行われた7つの部屋を、99段の長い階段がつないでいる。
この全ての部屋で、きらびやかな歴史あるひな人形や細工を展示する。一足先に同展を堪能してきたので、部屋ごとに見どころを紹介しよう。ぜひ、訪れる際の参考にしてほしい。
十畝の間
最初に訪れる「十畝の間」は、合計23面のふすま仕立ての鏡板に四季の花鳥画が描かれている。黒漆の螺鈿(らでん)細工が随所に施された重厚な造りの部屋だ。
テーマは「百段雛まつり」。時代を旅してきた逸品や地域に息づく素朴な人形など、江戸から平成までのひな飾りが展示されている。時代によって変わる人形の顔つきや姿に注目してほしい。
漁樵の間
室内が全て純金箔(きんぱく)、純金泥、純金砂子で仕上げられた「漁樵の間」。金のきらびやかさと彩色木彫、日本画に囲まれた美しさは息をのむほど絢爛(けんらん)豪華だ。
テーマは「座敷攤」。 京のみやびを表現した圧倒的スケールの「座敷雛」が展示されている。人形の数はなんと約800体。中央には京都三大祭の一つである「葵祭り」の風景を表現している。 奥には2つの御殿飾りがあり、優美な宮中の景色が広がっている。「光源氏」など、平安時代の有名な人物を探してみよう。
草丘の間
礒部草丘の四季草花絵や、松原の風景が描かれた「草丘の間」。テーマは「うしくのひなまつり」で、茨城県牛久市の早春を彩る華やかな吊るし飾りと、愛らしい創作人形の世界が展開される。
春夏秋冬ごとの風景を表現した飾りや、迫力満点の吊るし飾りが展示。子を思う親心から生まれた、美しくも優しい人形を鑑賞しよう。
静水の間
「金箔押地秋草」が描かれた「静水の間」。テーマは「清湖離物語」で、滋賀県の琵琶湖を舞台とした物語の世界が広がる。
奥の間が全て展示のスペースになっており、清涼な湖が爽やかな色合いで表現されている。着物には刺しゅうなどが一切施されておらず、ほかのひな人形とは変わった雰囲気を醸し出す。着物は麻でできており、柔らかさを生かした独自の様式美を持ち合わせている。
星光の間
欄間いっぱいに板倉星光の「四季草花」が描かれた「星光の間」。同部屋のテーマは「極小の雛道具」で、30年近くひな道具の収集・研究をしている川内由美子のコレクションが展示されている。
名品と名高い「七澤屋雛道具」や豆人形、手のひらに収まる小さなガラス食器や豪華な食事の切子細工などが並ぶ、江戸時代から昭和初期のかわいらしい極小ひな道具を楽しもう。
清方の間
美人画の大家である鏑木清方が愛着をもって造った、落ち着いた茶室風の部屋「清方の間」。テーマは「ねこたちの雛まつり」で、初の試みとなる特別企画が展開される。
10人の現代アーティストによる猫粘土造形や友禅染絵、ぬいぐるみなど多くの作品が並ぶ。石渡いくよの「楽し♡うれしや♡雛の饗宴」は、猫たちの大宴会の風景が人形で表現。表情豊かな猫たちの愉快な様子に、思わず笑みがあふれるだろう。
頂上の間
最後のエリアは、長らく使用されていなかった「頂上の間」。2009年に東京都有形文化財に指定されたのを機に整え、一般公開された。
部屋のテーマは「早春を彩るてまり」。手まりには、「まるく収まる」 「縁をつくる」 などの意味があり、 ハレの日の贈り物である。同展では、日本各地の手まりとともに、ひなまつりをイメージしたインスタレーションが展示される。一つだけある、ハートの手まりを探してみては。
2010年に初開催し、4年ぶりに晴れて復活した同展。美しく壮大な景色の中で、まるで自分がひな御殿の中にいるかのような気分を味わってみよう。
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