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復興する福島をアートで彩る「フタバアートディストリクト」が進行中

7メートルもの壁画や、ソーシャルディスタンスを守るロミオとジュリエットの作品など

Youka Nagase
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Youka Nagase
Former editorial assistant at Time Out Tokyo
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福島県の一部の地域は、2011年3月11日の東日本大震災の津波と原発災害の後から人がいない状況が久しく続いている。多くの地域は放射線の問題上、長年にわたる制限解除が行われてから、最近になってようやく公開された。東京電力第一原子力発電所に最も近い町の一つ、双葉町は2020年3月に立ち入り制限が解除され、現在は一連のストリートウォールアートを推し進めている最中だ。

アートカンパニーのオーバーオールズ(Over Alls)は町のムードを盛り上げ、震災の被害を受けた人々へ敬意を表するためにデザインされたグラフィティアートを手がけた。

Futaba Art District
Photo: Over Alls

2020年3月に双葉町が立ち入り解除された時、オーバーオールズの赤澤岳人と震災時にジョーズマン(JOE’SMAN)のオーナーであった(現在は東京アウトレットのオーナー)高崎丈は、『フタバアートディストリクト(Futaba Art District)』のプロジェクトを開始、町を彩り、活気を取り戻そうとしてきた。

Fukushima Art Distric
Photo: Over Alls

最初のインスタレーションは、双葉駅のすぐ外にある壁に描かれたシンプルなステンシル画だった。ソーシャルディスタンスに着想を得て、互いに手を差し伸べるロミオとジュリエットが描かれているのだが、二人ともマスクをして、ジュリエットの立つバルコニーには2011年以来の当地の放射線量を示唆する数字が添えられている。

Fukushima Art Distric
Photo: Over Alls

2番目の作品は、ジョーズマンの裏手にある7メートルもの壁面を舞台にしており、「HERE WE GO!!!」という文句とともに下を指差す腕が描かれる。これは、双葉町の再生そのものを意味している。

Fukushima Art Distric
Photo: Over Alls

3番目の作品は、「双葉の母」がモチーフだ。「双葉の母」は、鮮烈な赤色の髪をした、当地でよく知られている女性で、ペンギンというファーストフード店に勤務している。この作品は『HERE WE GO!!!』のすぐ右側にあり、双葉駅の外に出るとすぐに見つけられるはずだ。

12月には新たに二つの作品が披露された。一つは震災時のこの作品が描かれた建物のオーナーの息子を、もう一点はその息子の現在の姿を描き出している。

フタバアートディストリクトは現在進行中のプロジェクトであり、オーバーオールズは今後もさらに壁画を作成していくという。当面の間は、双葉町は警戒中であるものの再開されており、元の住民たちは2022年春には戻れることを望んでいる。

原文はこちら

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