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森林浴×音浴が楽しめるダイニングバー「FUL」が京都・木屋町にオープン

FPMの田中知之がプロデュースした音よし、食よし、居心地よしの空間

テキスト:
Ai Kiyabu
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画像提供:フル
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京都の繁華街・木屋町エリアに2024年7月12日、オープンしたミュージックラウンジ「フル(FUL)」。プロデュースしたのは、音楽プロジェクトFPM(Fantastic Plastic Machine)の田中知之。森に降り注ぐ音楽を全身で浴びる、「サウンドフォレスト」というコンセプトのもと、今までにない「植物×音楽×食」のスペースを作り出した。

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多肉植物や熱帯植物があちこちに置かれた温室のような空間。古木が組み合わさった巨大なシンボルツリーも中央で存在感を放つ。「繁華街の中に下鴨神社の糺(ただす)の森のようなパワースポットを作りたいと思った」と田中は言う。「MAESTRO」の屋号で知られるフローリスト・綛谷武史と、世界中から植物を集めるプラントハンター・「松竹園」の竹岡篤史の2人に依頼し、コンクリート造りの建物に「森」を出現させた。  

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音楽人・田中がプロデュースした同店は言わずもがな、音楽を楽しむ場所である。ところが、従来のミュージックバーにありがちな大きなスピーカーやアナログレコード、DJブースといったものは一切見当たらない。その代わり「1 SOUND」にオーダーしたアースカラーのスピーカーが天井にさりげなく溶け込んでいる。   店内に設置したスピーカーの数は合計10基。シャワーのように降ってくる音楽は、耳で聴くというよりは体全体で感じられ、うるさいと思うことはなく、心地よい状態が続く。サウンドシステムカンパニー・eastaudioの栃堀悟の協力のもと、音の周波数や音圧を徹底的に整理して、音楽をしっかりと聴きながらも滞りなく会話ができるようにこだわった。

セレクトしたのは、古今東西ジャンルレスな音楽。「ここにはチルアウトな音楽が合うと思います」(田中)  

音楽の供に欠かせないのが、気分を上げてくれるドリンク。カクテルは、バーやカクテルに関するあらゆることを担う「LIQUID WORKS」として活躍を広げる、齋藤恵太が監修した。   香りをテーマに6つの「FUL」で表現されたカクテルは、宮崎の芋焼酎やプーアール茶を使ったエスプレッソマティーニ「GRACEFUL」(2,000円、以下全て税込み)や、スモーキーなメスカルに香ばしいほうじ茶などをブレンドしたネグローニスタイルの「SOULFUL」(2,000円)など、日本らしさがある材料を用いている。

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ナチュラルワインのセレクトは田代啓。世界中からえりすぐりの120種がセラーを満たす。茶は個性豊かな茶を扱う「セブンティープラス(7T+)」が厳選した、宇治の単一品種や和紅茶、抹茶ラテなど充実のラインアップ。京都の人気コーヒー店「ウイークエンダーズコーヒー(WEEKENDERS COFFEE)」が焙煎(ばいせん)したオリジナルブレンドのコーヒーも用意する。 

食通としても知られる田中知之のアイデアが形に

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食通でも知られる田中のアイデアのもと、日本のストリートフードをアップデートした料理の数々は、バーフードの期待値を超えたユニークなものばかりだ。ブリオッシュを使ったフレンチトーストで分厚いだし巻き卵を挟み込んだ「ブリオッシュフレンチトーストのだし巻きサンド トリュフの香り」(1,200円)は、新たな京都名物になり得る一品である。卵の上に乗せられたホイップクリームがトリュフ風味で、リッチな味わいがたまらない。  

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「卵黄で食べる備前黒毛和牛すき焼きと生麩の春巻き」(1,400円)は、黄卵をディップして味わうのが作法だ。しっかり味の付いた和牛と野菜がぎゅっと詰まった春巻きは、クセになるおいしさ。ほかにも、タコスやチーズケーキなど食べるべきメニューは盛りだくさんで、バーでもしっかり食べたいという人も満足させてくれる。  

ビンテージ家具や自然なマテリアルが調和した空間 

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インテリアデザインは松中博之(DESIGN ROOM 702)が手がけた。「手をかけるところはきちんとかけて、そのままでいいところはそのままにして。引き算、足し算のバランスを重視しました」と松中は語る。

コンクリートの無機質な建物に、ソファの曲線や、土・鉄・木・石といった自然なマテリアルがよく映える。葉脈のような柄の大理石はインドのもの。「レインフォレスト」という石の名前も相まって、この空間にピッタリだと思ったという。ピエール・ポラン(Pierre Paulin)、パコムニョスなど幾つかのヴィンテージチェアや海外作家物の家具類、シャルロットペリアンのウォールランプなどビンテージ家具もちりばめられている。奥の半個室に垂れ下がるシャンデリアは、モロッコで買い付けた一点もののアート作品だ。  

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店内はソファラウンジ、ハイチェアのカウンターバー、テーブル席が並ぶダイニングと3つの異なるエリアに分かれている。総席数は78席。小さな店が多い京都で、これだけのキャパシティーがあるのは珍しく、重宝するだろう。おのおののジャンルのプロフェッショナルたちがこだわり抜いて作ったからこそ、音楽好きはもちろん、カクテルやワインを楽しみたい人、心地よい空間でゆっくりしたい人など、さまざまな目的で人が集まる場になりそうだ。

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