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東京・天王洲の「寺田倉庫」で、「金曜ロードショーとジブリ展」がスタートした。日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」の歩みをたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する。「風の谷のナウシカ」に登場する腐海をリアルに表現した空間やフォトスポットなど、ジブリファンにはたまらない展示だ。
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開幕に先立って行われた開会セレモニーでは、日本テレビ代表取締役で会⻑執行役員の杉山美邦、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫、KDDI執行役員常務の竹澤浩が登壇した。
「金曜ロードショー」は、1985年から日本テレビ系で放送されている映画番組。スタジオジブリ作品は1986年から203回(2023年6月末時点)放映してきた。 また1997年から2009年まで、番組のオープニングをスタジオジブリが制作したオリジナル映像(音楽は久石譲)が飾ったほか、番組キャラクター「フライデーおじさん」は宮崎駿が生み出し「耳をすませば」を監督した近藤喜文が仕上げるなど、縁が深い。
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鈴木は、「実は本展の言い出しっぺは僕。ジブリは約10年も作品を公開してこなかったのに、みんなが覚えていてくれるのはやっぱり金曜ロードショーのおかげだと思う」と語った。また、全国巡回を続ける「鈴木敏夫とジブリ展」など、近年開催されてきた展覧会は主にスタジオジブリが企画してきたが、本展は日本テレビが主体で企画されたことに触れ、「ほかの展覧会とはひと味違う参加型の内容になっていて面白いので、ぜひ多くの方に楽しんでほしい」と笑顔を見せた。
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金ローとジブリそれぞれの歩みを楽しむ
会場を入ると、ミニシアターのような扉とスクリーンの「シアターゾーン」が現れ、フライデーおじさんが登場するかつてのオープニング映像とともに、番組とスタジオジブリとのエピソードを紹介する映像が観客を迎える。
その先の「ヒストリーゾーン」では、番組とスタジオジブリの歩みを1年ごとにパネルで紹介。ジブリ作品のストーリーや直筆の絵コンテ、制作現場の裏話やアーカイブ映像といった貴重な資料と、その年の出来事やヒット商品、流行語やベストセラー本のほか、昭和・平成・令和の世相を振り返り、ジブリ作品の時代性と普遍性を浮かび上がらせている。
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また、思わず見とれてしまうのが、ジブリ作品のキャラクターをモチーフにした大きな「ジブリの幻燈楼(げんとうろう)」。「幻燈」とは、フィルムや造形物などに強い光を当てて、レンズで幕などに拡大映像を投影して見せる装置で、光と音楽が広がる幻想的な空間で映画の世界観を楽しめる。
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これは2018~19年に開催された展覧会「ジブリの大博覧会」富山展のために制作されたもので、東京では初展示。スタジオジブリ監修のもと、ガラスの町・富山の富山ガス造形研究所、富山ガラス工房と地元のガラス作家らが手がけた。
スタジオジブリの名作の世界を体感
2階には、子どもから大人まで楽しめるフォトスポットゾーンが広がる。まるで架空のスタジオに迷い込んだような空間で、「魔女の宅急便」や「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、ジブリ作品のポスターに映る主人公になりきって写真が撮れる。
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圧巻は、「風の谷のナウシカ」に登場する腐海の森と王蟲(おうむ)の世界だ。 稀代の造形作家として世界に多くのファンを持つ竹谷隆之らが手がけた、巨大な王蟲や大王ヤンマ、ムシゴヤシなど、今にも動き出しそうなリアルさに思わず身がすくんでしまう。
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フライデーおじさんやジブリ美術館のグッズも販売
会場オリジナルのグッズショップも充実の品揃え。本展の公式図録や、番組キャラクターのフライデーおじさんのアイテム、これまでに劇場公開されたジブリ作品の劇場用ポスターとパンフレットの復刻販売や書籍のほか、「三鷹の森ジブリ美術館」のグッズも一部並んでいる。
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「金曜ロードショーとジブリ展」は2023年9月24日(日)まで。その後、富山県美術館への巡回が予定されている。
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