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シンガポール出身のレスリー・キーは、東京をベースとしながらニューヨークなど世界的に活躍、SDGsについての取り組み、人種、国籍、身体機能を超えた「ダイバーシティ(多様性)」をテーマに掲げるフォトグラファーだ。
このほど、羽田空港第2ターミナル5階のフライトデッキトーキョーで、およそ100人のセレブを被写体とした写真展『We Are The Love』が開幕。オープニングセレモニーにはカンヌ受賞映画監督である河瀨直美、タレントのすみれ、シンガーソングライターの平原綾香もテープカットに駆けつけ、コロナ禍の逆境に打ち勝つかのように、華やかなスタートを切った。
タイムアウト東京ではこれまでも何度か、キーへの取材を行っている。今回のインタビューでも手元に掲載時のコピーを携えていると、開口一番「懐かしい。これいつの?」と自身から切り出し「2014年だ!」と掲載年を見事に言い当てた。
今回の写真展のテーマ「ダイバーシティとインクルージョン」にかけ、日本で「ダイバーシティを体現している街」をキーに尋ねた。
「六本木の方が、外国人がよく集まると言われるのでそう(ダイバーシティだと)考えられている気がしますけど、渋谷に来る若者たちは、いろいろな刺激を吸収し、挑戦しようとしているように思えます。お金がなくても渋谷に足を運んで、パワーをもらうなど、もっとハングリーさがあると思う」と、渋谷こそが日本のダイバーシティを体現している街だという見解を示した。
六本木は、懐も豊かで、余裕がある人が集まる街と「大人の場所」として評価しながらも「渋谷はオープンマインドでお金があってもなくても、パワーがみなぎっている」と現在、自身も松濤に住んでいるという思い入れも吐露する。
渋谷の象徴といえば、スクランブル交差点だが、これも「ニューヨークのタイムズスクエアと同じで、みんなが足を運ぶ『永遠のパワースポット』だと思う。今、僕は50歳ですが、80歳になっても90歳になっても、渋谷のスクランブルスクエアを歩き、若者からパワーをもらい、いろいろな刺激を受け、(創作への)考えを巡らせたいと思っています」と大絶賛。
最近、よく訪れる場所は、ミヤシタパークだそう。東京は高層ビルで遮られ、なかなか空を見上げる場所がないとしながらも「(宮下パークは)それでも空が見え広い場所で、人間が自由を表現できる場所だから」とその理由を述べた。
キーは2019年に現在の夫、ジョシュア・ヴィンセント・オッグと婚約。昨年9月には渋谷区で同性同士の婚姻関係を認めるパートナーシップ証明書を取得し、同区で50組目のカップルとなった。
誰もが知るとおり渋谷は現在、大変貌中だ。キーはその点にももちろん着目しており「渋谷はあと10年のうちにもっともっと変化して、さらにダイバーシティの街になる。桜丘もいずれ変わって来ますし、これからの渋谷は世界中の人が集まるパワースポットであり続けると思います」と締めくくった。
今回の写真展『We Are The Love』については、「単純に『We Are The World』(1980年代にマイケル・ジャクソンなど30人以上の著名ミュージシャンが参加し大ヒットした楽曲)が思いついて、もうあのメンバーは集められないけど、「LOVE」がテーマだと思ったので、そのままタイトルにしました」と、茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。 同写真展は12月20日(月)まで。
『We Are The Love PHOTO EXHIBITION by LESLIE KEE』の詳細はこちら
テキスト:たまさぶろ
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