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2023年8月28日~9月2日、今年も「Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/S」が、「渋谷ヒカリエ」や「表参道ヒルズ」を中心に実施。全50ブランドが参加し、35ブランドがフィジカルで、15ブランドがデジタルで発表を行った。
2024年度のテーマは「OPEN,FASHION WEEK」。今回は、これまで限られたゲストしか出席できなかった前夜祭パーティーを一般解放したり、初フル3DCGで作られたキービジュアルのエキシビション「生成AIと解放」展を開催したりと、これまでになかった取り組みが行われた。そのほか、フィリピンのライフスタイルアパレルブランド「ベンチ(BENCH)」や台湾生まれの譚芸斯が手がける「トゥー(TWEO)」など、アジア出身のデザイナーが多く参加している。
ここでは全6日間のうち、注目されたショーを一挙に紹介する。世界のファッションシーンを彩るブランドがめじろ押しだ。
カナコ サカイ
会期初日の8月28日には、渋谷ヒカリエで「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」がオープニングショーを飾った。カナコ サカイは、新たなデザイナーの支援を目的として発足した「JFW NEXT BRAND AWARD」でフィジカル部門のグランプリを獲得した今、大注目のブランドだ。
日本が世界に誇る文化とものづくりの技術を、ブランドのクリエーションに乗せて世界に発信していくことをミッションに掲げており、クリーンなカッティングと、独特で多彩な表情を持つ素材選びと色遣いの組み合わせが魅力。貝殻を原料としたシアーの螺鈿(らでん)織生地で作られたコートや石のアクセサリーなど、伝統技術に新たな解釈を加え、現代的に再構築したアイテムが目立った。
初開催とは思えないほどの完成度の高さで、人々を魅了したランウェイ。フィジカル発表のスタートにふさわしいショーと言えるだろう。
ハルノブムラタ
同じく28日は、「東京国立博物館」の法隆寺宝物館で「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」がショーを開催。S/Sのテーマは「AN INTIMATE PORTRAIT OF THE LIFE(親密な日常のポートレート)」だ。写真家のスリム・アーロンズが捉えた魅力的な人々をインスピレーションに、鮮やかなブルーのシルクコットンやシアーなチェックのニット、美しいグラデーションに染められたシルクなどを用い、現代のワードローブに軽やかなエレガンスをもたらしたコレクションを発表した。
ショーは野外の水盤を囲む形で行われ、白や夕日を思わせるオレンジ、鮮やかな緑など、涼しげで自然的な色彩のものを多数紹介。ロケーションも相まって、今までの重厚感があるエレガントなコレクションとは一味違う、ナチュラルな美しさが際立つショーとなった。
セヴシグ/アンディサイデッド
30日、鶯谷にある元グランドキャバレー「東京キネマ倶楽部」では、文化やサブカルチャーをベースに、目まぐるしく変化する時代を常に楽しむ女性のイメージをデザインに落とし込むデザイナー・長野剛識の「セヴシグ/アンディサイデッド(SEVESKIG/(un)decided)」がショーを開催。会場は昭和情緒であふれ、まるでタイムスリップしたような感覚に陥った。
今回のテーマは「IF WE BREAK DOWN THE WALLS」。争いや分断などの障壁を取り払うことができたらという思いのもと、花がちりばめられたステージでランウェイを実施した。
スラブ民族の伝統的なディテールや、シアー素材のアイテムで顔を覆うようなユニークなルックが登場した。レザーカットでボロボロに穴が開けられたデニムは、争いによって傷ついた人々の心象を表し、破れた生地を修復するように配置された花の刺しゅうは祈りの言葉を表している。
そのほか、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーションアイテムも発表。「A.T.フィールド」をイメージして開発された、ナイロン扁平(へんぺい)糸を編み上げたバリアのような素材も展開した。
ア ベイシング エイプ®
31日、設立30周年を記念した「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE)」が「国立代々木競技場 第二体育館」でショーを開催。東京でのランウェイショーは今回が初めてだ。
ブランドのモチーフであるエイプヘッドをカモフラージュ柄に潜ませた「ベイプカモ」をはじめ、フードがサメの姿をした「シャークフーディ」、オリジナルシューズの「ベイプスタ」など、ベイプ®︎の原点にして頂点であるアイコニックなルックが勢揃いした。
日本発祥のブランドとして、世界中の幅広い層からの高い支持を獲得しているベイプ®︎。1993年のブランド設立以来、ストリートファッションのシンボルとして存在してきたブランドらしい、盛大なショーとなった。
ヴィヴィアーノ
渋谷ヒカリエでフィジカルショーのフィナーレを飾ったのは「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」。フランス南部の海辺の街・ロシュフォールを舞台に、1967年の仏映画「ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort)」に着想を得て、明るい真夏の日差しを浴びているような陽気で満ち満ちたムードのコレクションを展開した。
ヴィヴィアーノを象徴するドラマチックなクチュールドレスでは、初めてデニム素材のクチュールが登場。そのほか、爽やかなマリンルックや、海を思わせる青色のグラデーションドレスなどを発表。フィナーレでは、モデルたちが手をつなぎ、笑顔でスキップして登場するさまはまさに映画のよう。美しい夏を思わせるロマンチックなショーで幕を閉じた。
「解放」という大きなテーマを掲げた今年度は、国内外の13ブランドが初参加。既存の参加ブランドも、新しい一面が垣間見えるような個性豊かで心躍るショーが展開された。まさに「開放」というテーマがピッタリである。
「Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W」は、2024年3月11日(月)〜3月16日(土)の開催を予定している。次回はどのようなショーが展開されるのか、今から待ち遠しい。
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