[title]
日本を代表するファッションデザイナー髙田賢三の没後初となる大規模個展をはじめ、2024年の7月はファッションにまつわる展覧会が盛況だ。
フランスのメゾン「カルティエ(Cartier)」が原宿に初めてブティックをオープンさせてからの半世紀を振り返る展覧会では、ファッションの世界にとどまらず「カルティエ現代美術財団」と協業してきた現代アーティストによる150点以上のアート作品も並んでいる。また、展覧会ではないので本稿では取り上げないものの、青山に新しくオープンした「化粧文化ギャラリー」もメイクや装いに関心のある人ならば一度は訪れてみてほしい。
髙田賢三 夢をかける
日本人デザイナーとして1970年代前半にいち早くパリへ進出した、ファッションブランド「KENZO」創設者、髙田賢三(1939〜2020年)が、初台の「オペラシティアートギャラリー」で開催される。没後初の大規模個展という点でも注目が集まっている。
ファッション界の常識を打ち破るスタイルを生み出し、「色彩の魔術師」と呼ばれることもあった髙田。そのクリエーティビティの変遷を、衣装の展示やデザイン画でたどることができるほか、幼少期からのスケッチや、アイデアの源泉となった資料、彼を支えた人々との交流を示す写真なども紹介する。
「木綿の詩人」と称賛され世界的に知られる存在となって以降も、「衣服からの身体の解放」をテーマに、日本人としての感性を駆使した新しい発想のコレクションを発表した。後進の日本人デザイナーが世界進出する道を開いた、偉大なるパイオニアの功績を再発見しよう。
※9月16日(月・祝)まで/11~19時/入場は閉場の30分前まで/定休日は月曜(祝日の場合は翌日)、8月4日(日)/料金は1,600円、大学生・高校生1,000円/中学生以下無料
カルティエと日本 半世紀のあゆみ 「結 MUSUBI」展 — 美と芸術をめぐる対話
フランスを代表するハイジュエリー&ウオッチメゾン「カルティエ(Cartier)」が、上野の「東京国立博物館 表慶館」で、「メゾン」と日本を結ぶさまざまなストーリーを紹介する展覧会を開催する。
20世紀初頭に美術愛好家であったルイ・カルティエの時代から現代まで、「メゾン カルティエ」の作品がいかに日本からの影響を受けているか、また、1988年以降、日本で開催されてきたカルティエの展覧会を振り返りながら、その歴史を貴重なアーカイブピースとともに紹介する。
加えて、多くの日本人アーティストをヨーロッパに紹介してきた「カルティエ現代美術財団」の活動も紹介。澁谷翔が描いた絵画50点の連作をはじめ、村上隆や横尾忠則、荒木経惟、川内倫子、森山大道、束芋、宮島達男、杉本博司、三宅一生らの作品も展示予定だ。
カルティエが日本で最初のブティックをオープンしたのは1974年。カルティエジャパン50周年にふさわしい、貴重で豪華な展覧会となるだろう。
※7月28日(日)まで/9時30分~17時(金・土曜は19時まで)/入場は閉場の30分前まで/定休日は月曜(7月15日は開館)/料金は1,500円、大学生1,200円/高校生以下無料
生誕100年 越路吹雪衣装展
越路吹雪(こしじ・ふぶき、1924~80年)は、宝塚歌劇団のトップスターとして活躍し、退団後は「シャンソンの女王」と呼ばれた伝説のスターだ。その生誕100年を記念した企画展が、東京・新宿の「早稲田大学演劇博物館」で開催されている。
越路は宝塚時代からおしゃれに関心が高く、1953年に初めての海外旅行でフランスを訪れ、パリの舞台やファッションに刺激を受けた。後年に開催していた自身のリサイタルでは「イヴ・サンローラン」のオートクチュールドレスを着こなすなど、憧れの存在であり続けた。本展では、彼女の舞台衣装やアクセサリー、愛用した香水などとともに、当時の映像やポスターなどの資料も展示されている。
1928年に開館した「早稲田大学演劇博物館」は、100万点にもおよぶ国内外の演劇・映像コレクションを所蔵する、非常に珍しく貴重なミュージアムだ。早稲田大学の構内にあり、誰でも訪れることができる。
※8月4日(日)まで/10~17時(火・金曜は19時まで)/入場は閉場の30分前まで/7月17日は休館/料金は無料
関連記事
『ミニマリズムを極めた先のタイムレスな美、「ポール・ケアホルム展」が開催中』
『縄文時代の出土品とともに展示、「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」展が開幕』
『イメージから広がる暮らしの中の美「五感で味わう日本の美術」が開催中』
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら