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2021年1月22日(金)から、ドバイ国際博覧会(ドバイ万博)のテーマパビリオンの一つである『テラ(Terra)』が、万博本開催に先立ち、市民や観光客へプレミア公開される。ドバイ万博は世界的なパンデミックの影響により1年間開催が延期されたが、今回の公開をきっかけに、機運が再び高まっている。
テラはサステナビリティをテーマにしたパビリオン。遊び心ある冒険的な体験を楽しめることが売りで、万博終了後はサイエンスセンターになる予定だ。
このパビリオンが膨大な数のインタラクティブで教育的な展示物を通して訴えているのは、自分たちの選択が環境に与える影響について批判的に考えることの大切さ。これは、ドバイ万博が次世代へ向けて形成しようとしている永続的なレガシーのなかでも、最も重要な要素である。
テラを訪れてまず目を引くのが、周辺を取り囲む『エナジーツリー』だろう。これは太陽を追跡することができる太陽光発電装置で、エネルギー収支ゼロをうたう同パビリオンの電力の多くを賄っている。
展示はタイムトラベル形式で展開。最初に生命における変化は自然なものであるという考え方を紹介し、「旅」の終わりに向けては、人類が持続可能なペースを超えて変化を加速させてしまったことを訴える。続いて導かれるのは、何千ものソーラーパネルが付いた大きな天蓋(てんがい)の下。そこには移動遊園地にあるような巨大ピンボールマシン、力比べのゲームなどが置かれている。また、乗ることで世界が直面している問題でバランスを取ることを体感できる自転車もある。その後に続く360度空間では、海の下や熱帯雨林など自然界の美しさ、さらに、プラスチック入りのツナ缶を大衆に売りつけるフェイクテレビCMなどを通して、痛烈に現実を突きつけられる。
このタイムトラベルは、全体的に「問い」を投げかける構成になっている。8カ所に設置された『質問コーナー』では、「地球を守るか、火星に行くならどちらを選ぶ?」などの問いに対して、自分たちの答えの選択を促される。この『質問コーナー』は、訪れた人に問題意識を持ってもらうものだが、それ以上に重要なのが、スコアボードを介して最も人気のある答えを共有することだ。これにより、人々は問題の道徳性を考えながら、自身の結論を導き出すことが可能。運営にとっては、重要な問題についての教育を進めるに当たり、人々のスタンスをより良く把握できるというメリットもある。
『Laboratory of Future Values』という展示では、水耕栽培の庭、持続可能な生活ソリューションを紹介するジオラマが楽しめる。同じ場所に置かれている大きなタコの展示は、『質問コーナー』より大掛かりな参加型企画。タコの足にぶら下がっている三つのボウルは、責任、変化の原動力についての質問への選択肢となっている。
ドバイ万博の事務局長で、アラブ首長国連邦の国際協力担当国務大臣であるリーム・ハシミは、「私たちは(そもそも)急激で予測がつかない変化の時期にあり、自分たちの在り方を見直す必要性にかられていました。そして、地球上の一人一人に関わる世界的な健康危機が起き、ますますそれが必要なことになったのです。2020年は私たちを永遠に変えた年として記憶されると思いますが、一方で、グローバル社会が団結し、差し迫った課題への答えを見つける素晴らしい機会を与えてくれた時期でもあったのです」と語っている。
『テラ』のプレミア公開は、2021年1月22日(金)〜4月10日(土)。入場料は25ディルハム(約700円)で、入場にはオンラインでの時間指定予約が必要。1日の入場数は平日3000人、週末5000人に限定される。また、当日券の販売はない。
サステナビリティをテーマにした『テラ』に続き、今後、機会をテーマにしたパビリオン、モビリティをテーマにしたパビリオンがプレミア公開される予定。
ドバイ万博の開催期間は、2021年10月1日(金)〜2022年3月31日(木)。参加国は約200カ国で、数百万人が来場すると見込まれている。
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