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ロンドン市長が超低排出ゾーン(ULEZ)の拡大計画を発表した。この街の一部のドライバーにとっては、悲しいニュースかもしれない。
市長のサディク・カーンは昨年、ULEZをロンドン中心部から北環状線と南環状線まで拡大していたが、2023年末までに実施される最新の拡大計画で、これをグレーターロンドン全域まで広げる。ゾーン拡大でできる新しい境界では、首都圏に入る高汚染のガソリン車とディーゼル車に、毎日乗り入れ料金が徴収されることになる。
ULEZは2019年、ロンドン中心部の汚染レベルの引き下げに立ち向かうための施策としてスタート。カーンによると、昨年の拡大以来、市内の380万人以上がよりきれいな空気を享受しているという。
市長はプレスリリースで次のように述べている。「有害な大気汚染、気候の緊急事態、渋滞という三大課題にチャレンジするために、ロンドンでの自動車排出ガスをさらに削減しなければならない」
「我々に無駄にできる時間はない。気候変動による緊急事態は、地球を救うために二酸化炭素の排出を削減できる機会がわずかであることを意味している。ロンドンはここ数年、世界をリードする対策を実施してきたが、依然としてあまりにも多くの有害な大気汚染が残る。汚染は若者の肺を永久に傷つけ、毎年何千人もの死者を出していている。郊外地区では大気汚染が原因の死者が市内で最も多くなっているのだ」
また市長は、この問題は「社会正義」の一つであり、市の最貧困層が最も大きな打撃を受けていると認識している。
「ロンドン市民の半数近くは自動車を所有していないが、汚染車両が引き起こしている害を不当に感じている。もし大気汚染削減ための追加措置がとられなかった場合、今後30年間で約55万人の市民が大気汚染に起因する疾患を発症。NHS(イギリスの国営医療サービス事業)と社会保障制度への累積コストは104億ポンド(約1億5,750万円)になると推定される」
ULEZが拡大された場合、非対応車のドライバーは、グレーターロンドンでの運転に1日12.50ポンド(約1,890円)を課されることになる。市長は慈善団体、中小企業、障害者、低所得層に該当するロンドン市民が、古い車をより環境に優しい新型車に乗り換えるための買い替え促進策を導入し、ULEZ拡大で生じる不利益の解消を支援していく方針だ。
今回発表されたULEZ拡大計画により、ロンドンの道路を走る高公害車の数は1日当たり2万から4万台も削減され、ロンドン郊外の二酸化炭素排出量は年間13万5千から15万トン削減されると見込まれている。
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