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世界中でのワクチン接種が進んでいるなか、同時に世界各国では、自国経済をどう再開させるかの検討が行われている。すでにいくつかの国では、レストランやジム、大規模なイベント会場を訪れる際などに、ワクチン接種済みであることを証明できる 「ワクチンパスポート」を導入しているが、欧州連合(EU)も、ワクチン接種した人が域内を自由に移動できるようにする独自の「デジタルグリーンパス」の導入に取り組んでいることが分かった。
欧州委員会の委員長であるウルスラ・フォン・デア・ライエンは2021年3月1日、 「 (このパスは)ヨーロッパの人々の生活を促進するはずだ。人々が仕事や観光のためにEU域内や海外を安全に移動できるようにすることが導入の目的」と語り、EU版ワクチンパスポートの導入を表明。
EUがこの制度導入へかじを切ったことは、低迷している観光産業の再活性化に関して、各国がより協調的なアプローチを取っていく可能性が高いことを示しているといえる。しかしこの数週間、EU加盟国である27カ国の間では、ワクチンポスポートの提案を巡って対立があったといわれている。
例えば、ギリシャやスペインのように観光に依存している国々は、夏のピークシーズンに間に合うように旅行を再開する計画を推進。しかし、フランスやベルギーなどの国々は、データ保護、接種を受けた人と受けていない人との間で起きる差別の可能性について懸念を表明している。
しかしEUのワクチンポスポートには、感染歴や最近の検査結果など、新型コロナウイルスに関するより広範な情報が盛り込まれる可能性が高い。ドイツの首相であるアンゲラ・メルケルは2月末に、EUの提案に対し、「このような証明書があることは確かに良いことだが、だからといって、こうしたものを持っている人だけが、旅行を許されるというものでもない」と語っている。
また、このワクチンパスポートは、EUに加盟していない国にも適用される可能性があるという。欧州委員会は、世界保健機関(WHO)と協力してこの制度をほかの国にも拡大していくことを発表。イギリスの首相、ボリス・ジョンソンの広報官は、同国がワクチンパスポートについて、EUとの協働を議論していくと表明している。
EUのワクチンパスポート制度についての詳細は3月中に発表される予定で、 パスポート自体が発行されるのは、早くても6月になりそうだ。しかし、2021年に再び海外旅行が可能になるかもしれないという事実は、我々が待ち望んでいた、旅行についての前向きなニュースであるのは間違いない。
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